調査会社IDCのリサーチアナリストJosh Martin氏は、米国時間6月29日に発表したレポートの中で、動画共有サイトのYouTubeが、ビデオ共有事業で利益を捻出するのは困難であると指摘した。同氏はその主な理由として、視聴者が同社のサービスを無料で利用することに慣れてしまっているためと説明している。同氏はさらに、カリフォルニア州サンマテオに拠点を置くYouTubeの動画サイトは、2005年12月に開設されて以来、ほとんど広告なしで運営されてきたため、同サイトのファンらは同サイトに広告が掲載されることに対しても強く抵抗する可能性が高いと指摘している。
Martin氏はレポートの中で、「これらの問題への取り組みを開始するには、YouTubeは数々の変更を行わなければならない」とした上で、「YouTubeにとって真に困難な作業は、同社が一夜にして成功する原動力となった視聴者たちの抱く、文化に対する考え方を変えることだ」と述べている。
YouTubeの広報担当のJulie Supan氏は、同レポートに関するコメントは避けたが、同社の幹部らがMartin氏に事業の見通しについて話したわけではないと語った。
YouTubeは、急成長するビデオ共有市場で40%以上のシェアを占めており、1300万人以上のユーザーが同サイトにログオンし、毎月、同サイトのファンがアップロードする手作りの映像を視聴している。しかし、同社の注目度が急速に高まり、さらにYouTubeサイトの開設から1年以上が経過しているにも関わらず、同社の幹部らはいまだにビジネスモデルを明らかにしていない。
YouTubeの関係者によると、同社は広告を販売する予定で、向こう数カ月間に徐々に掲載していくという。
Martin氏は、YouTubeには広告で利益を上げる以外に道はないと語る。同サイトの視聴者が、会員登録やコンテンツのダウンロードに料金を支払おうとする可能性は低いからだ。Martin氏はさらに、広告を使ったビジネスモデルも確実に成功する保証はないと付け加えた。
広告を掲載すれば、視聴者離れを招く恐れがある。Martin氏はレポートの中で「(YouTubeと競合する)広告を掲載しないサイトが出現し、YouTubeに見切りをつけたユーザーを取り込むまでどのくらいの時間を要するだろうか」と述べている。
また、YouTubeが優良企業に、同サイトに広告を出すよう説得できるのかという疑問も残る。メディアの間では、YouTubeが提供する一部のコンテンツの内容があまりに下品であるため、大手の広告主を呼び込むのは難しいのではないかとの見方が多かった。
YouTubeはコンテンツの事前選別は行っていない。ビデオクリップの大半は、売り出し中のミュージシャン、コメディアン、映画製作者らの作品だが、中には人々が注目を集めるためにひたすら叫ぶだけという作品もある。そして、さらに不快な内容のクリップもある。激しい事故や人がサメに襲われる様子などのクリップも数多く投稿されている。また、裸体や性的に露骨な映像を含むクリップを投稿する者もいる。
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