ソニー首脳陣、「復活への手応え」をアピール--課題はソフトウェアプラットフォーム

坂和敏、永井美智子(編集部)2006年06月27日 18時42分

 ソニーの代表執行役会長兼グループCEO、ハワード・ストリンガー氏と、代表執行役社長兼エレクトロニクスCEOの中鉢良治氏は26日、東京都内で報道関係者を集めた懇談会を開き、この一年間の動きを振り返るとともに、今後の抱負を明らかにした。

 冒頭で講演したストリンガー氏は、年間約2000億円のコスト削減などねらって進められている社内の構造改革について、予定通りマイルストーンを達成してきている点を強調した。また、CEO就任以前からの懸案となっていた「サイロ状態」(縦割り組織による部門間のコミュニケーション不全)の解消が進んでいる点にも言及し、とくに若手のソフトウェアエンジニアが経営幹部に対して、直接考えやアイデアをぶつける場が設けられるなど、社内でのコミュニケーションにかつてない展開が見られるとした。

ソニーのハワード・ストリンガー氏と中鉢良治氏 会見するハワード・ストリンガー氏(右)中鉢良治氏(左)

 また、ソニーのコンテンツとエレクトロニクス製品を結びつける鍵となるソフトウェア分野の取り組みについては、オンラインサービス「Connect」などの不振を認めた上で、「現在でも個々の製品にひも付いたアプリケーションには優れたものもある。今後は、個別の製品やオンラインサービスをつなぐ『ソフトウェアプラットフォーム』の開発強化を重視していく」と語った。ただし、Apple Computerの「iPod-iTunes Music Store」に対抗するようなエンドトゥエンドのソリューション開発については、具体策への言及はなかった。

 一方、「この1年は足下を固めることに注力してきた」と語る中鉢氏は、最重点課題としたエレクトロニクス事業の復活が、薄型テレビの新ブランド「BRAVIA」のヒットなどを中心に順調に進んでいると述べた上で、今後は構造改革に関する計画を前倒しして進めるとともに、「成長戦略に重点をシフトしていきたい」とした。また、「CellチップやBlu-ray関連の投資はすでにほぼ終了している」とした上で、今後の重点分野として、有機ELのような次世代ディスプレイ技術、CMOS/CCDといったイメージングデバイス技術、モバイル用バッテリー技術、MRAMなどを挙げた。

 さらに、11月に発売予定の次世代ゲーム機「PLAYSTATION 3(PS3)」について、「競合する他社のゲーム機に比べて割高ではないか」との質問に対して、中鉢氏は「CellチップやBlu-ray対応プレーヤーを搭載したPS3は、単なるゲーム機ではないとわれわれは考えているが、実際に高いかどうかについては(発売後の)消費者の判断に委ねたい」と述べた。

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