ソニー中間決算、PSPが好調もブラウン管テレビが重荷に

永井美智子(編集部)2005年10月27日 20時43分

 ソニーは10月27日、2006年3月期第2四半期(4〜6月)および上半期(4〜9月)の連結決算を発表した。携帯ゲーム機のPSP(プレイステーション・ポータブル)が世界的に好調でゲーム事業が大幅な増収となったものの、主力のエレクトロニクス事業が依然として苦戦している。

 第2四半期の業績を見ると、売上高は前年同期に比べてほぼ横ばいとなった。ただし2004年8月のソニーBMG・ミュージックエンタテインメントの設立による影響を除いた場合は、1%の増収であったという。

 一方、営業利益にはソニー厚生年金基金の代行部分を返上したことで、前年同期にはなかった735億円の利益を計上するとともに、構造改革費用を前年同期より178億円多い487億円計上した。これにより、営業利益は前年比51.9%増の659億円と大幅に伸びた。ただし、返上益を除けば76億円の赤字となっている(表1)。

表1.2006年3月期第2四半期(7〜9月)決算
金額(円) 前年同期比(%)
売上高 1兆7029億9600万 0.0
営業利益 659億1700万 51.9
経常利益 953億8300万 50.8
純利益 284億6800万 ▲46.5

 苦戦しているのはやはりエレクトロニクスの分野だ。液晶テレビやビデオカメラが好調なものの、ブラウン管テレビやプラズマテレビ、デジタルカメラが減収要因となっている。特にブラウン管テレビは薄型テレビに市場が置き換わっていることから構造改革の一環として工場の減損処理を進めており、約200億円のマイナス要因となっているという。テレビ部門は売上高が前年同期比19.1%減の1717億円、営業損失は前年同期の48億円の赤字から赤字幅が329億円拡大して377億円の赤字となった。

大根田氏は円安の影響について「増益要因となるが、円安に頼って利益を見込むのは良くない」と慎重な姿勢を貫いた

 ただし液晶テレビやビデオカメラは増収となっており、北米で8月に市場投入した液晶テレビの新ブランド「BRAVIA」は10月第1週に30%超のシェアを獲得したという。 利益面では依然として赤字だが、Samsung Electronicsと共同で設立した液晶パネル製造会社のS-LCDは9月に黒字化しており、「2006年下半期には利益がでてくる」とソニー執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏は話す。

 ビデオカメラではHD(高品位)映像が撮影できる「HDR-HC1」が10月第3週に金額ベースでシェア40%を取るなど、人気を集めているとのことだ。

 好調な分野としてはゲーム事業と金融事業がある。ゲーム事業では10月にPSPの累計出荷台数が1000万台を突破している(関連記事)。ソフトも順調に売上を伸ばしており、ゲーム事業の売上高は前年同期比79.1%増の2142億円、営業利益は前年同期から82億円増の82億円となった。

 金融事業は株式市場の好況に支えられてソニー生命の運用損益が改善したことや、契約者数が堅調に伸びたことで保険料収入が伸びている。売上高にあたる同事業の収入は前年同期比39.7%増の1759億円、営業利益は同169.1%増の400億円となった。

 子会社では携帯電話端末を開発・製造するSony Ericsson Mobile Communicationsが売上高、純利益ともに四半期で過去最高を記録した。ウォークマンブランドの「W800」や200万画素デジタルカメラ搭載のGSM端末「K750」などがヒットしたため。第2四半期における出荷台数は前年同期比29%増の1380万台となり、推定シェアは7%にのぼるという。なお、ソニーは持分法により70億円の利益を計上している。

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