logo

ソフトウェア業界を変えるオープンソースとWeb 2.0 - (page 3)

藤本京子(編集部)2006年06月19日 21時04分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OSSと大手ソフトウェア企業の関係

 後半は、SocialtextのMayfield氏とZimbraのDietzen氏も加わり、OSSと大企業の関わりなどについてのディスカッションが行われた。

 モデレーターの竹内氏が最初に投げかけた話題は、OSSがソフトウェア業界に与える影響についてだ。従来の大手ソフトウェア企業は、今後オープンソースモデルに移行するしかないのだろうか。

 これについてTolliver氏は、Linuxなどが本格的に普及していることなどから、今後もOSSが大企業を脅かす存在になると指摘した。また、「OSSでは初期コストがかからないため、試しに使ってみようというケースが多くなる。これは従来のソフトウェアベンダーにとっても脅威だろう」としている。しかし、同時に大手ソフトウェアベンダーはこれまでマーケティングに多大なリソースを使ってきたため、「簡単にオープンソースモデルに移行することもできないはずだ」と述べた。

ZimbraのCTO、Scott Dietzen氏 ZimbraのCTO、Scott Dietzen氏

 またDietzen氏も、ZimbraがOSSモデルを選んだのは顧客がそう望んだからだとし、顧客側のニーズが高まっているとした。開発面からも、「Microsoftのような大企業は自社のリソースを使って開発しているが、OSSであればコミュニティが開発を進めてくれるので開発費を抑えることができる」と指摘している。さらに、OSSと同様に普及しつつあるSaaS(Software as a Service)モデルについても触れ、「OSSだけでなくSaaSもソフトウェア企業に影響を与えいる。Microsoftでさえこうした動きへの対策を打ち出しており、今後10年でどうなるか非常に楽しみだ」と述べた。

 Mayfield氏は、OSSとWeb 2.0がコラボレーションに対するとらえ方において共通点があるとして、業界がこうした方向に向かうことで変革が起こるだろうと述べた。Mayfield氏が例に出したのは、「craigslist」というオンラインのクラシファイド広告だ。ここではユーザーが中心となって求人広告や地域掲示板などのコンテンツを作り上げているが、「このサイトの影響で、年間6000万ドル市場とされていたクラシファイド広告市場が崩壊しつつある。一方のcraislistは、600万ドルの収益を得ている」(Mayfield氏)と指摘し、同様の現象がソフトウェアの世界でも起こり得るとした。

 次に竹内氏が聞いたのは、現在OSやデータベース分野での利用が進んでいるOSSが、アプリケーションレイヤにまで浸透することはあるのかという点だ。

 Tolliver氏は、「アプリケーションでも十分にOSSが入り込む余地がある」とした。それは、OSSでアプリケーションを無償で試し、気に入った場合は商用バージョンへのアップグレードを促すというモデルが適用できるためだ。同氏は、IntalioというBPM(Business Process Management)ソフトウェアを提供する企業の取締役も務めているが、「Intalioは過去6年間、プロプライエタリモデルでソフトウェアを提供していたが、2カ月前にオープンソースモデルに変更した。その結果、7週間で顧客数が500社増加した。この数字は、過去6年間に獲得したユーザー数よりも多い数字だ」と述べ、このようなケースが今後も増えるだろうとした。

 また、Dietzen氏は、プロプライエタリソフトウェアは自ら変更を加えにくいが、OSSは拡張やカスタマイズが容易なため、ユーザーニーズが高いとしている。ただ、ニッチなプロプライエタリソフトは数多く存在するため「すべてがOSSになるわけではない」と話す。「投資銀行の株売買システムなど、戦略と結びつくようなものはオープンにできないだろう。特定のソフトをオープンソース化するかどうかは、利用者や利用方法によって違ってくる」(Dietzen氏)

SocialtextのCEO、Ross Mayfield氏 SocialtextのCEO、Ross Mayfield氏

 一方のMayfield氏は、OSSのメリットが「開発」と「流通」にあるとした上で、「OSなどインフラのOSSと一般アプリケーションのOSSの場合、両者共に開発部分のメリットはあるが、アプリケーションのOSSは流通モデルが普及していないことが問題だ」と述べる。つまり、インフラのOSSの場合、ユーザーは技術的に明るいことが多いが、一般アプリケーションではITに詳しくない一般のビジネスユーザーもいる。そういったユーザーは、わざわざOSSを探してダウンロードするという配布方法になじまない場合もあるというのだ。そのためMayfield氏の運営するSocialtextでは、IT技術者が自由に使えるオープンソースバージョンと、ビジネスユーザーが使えるASPモデルを用意している。

大切なのは「イノベーション」

 Dietzen氏が言うには、OSSやWeb 2.0、SaaSという注目キーワードは、「ゴールではなく手段だ」としている。つまり、こうしたキーワードは「製品やサービスのディストリビューションモデルを変えたに過ぎない」と主張、「本当のゴールは、過去にはない新しいことをするということにある」と述べた。

 OSSの普及で従来のソフトウェア企業が影響を受けていることについても、Dietzen氏は「ソフトウェア企業のビジネスモデルが、ずっと同じソフトを売り続けているというだけなのなら、OSSの打撃を受けても仕方ない。イノベーションを続ければ、市場が縮小することもないのだ」と述べ、イノベーションの重要性を強調した。

 Tolliver氏も、「ソフトウェア業界の業界地図が変わったということだ。この業界に居続けたければ、この変化を受け入れなくてはならない。イノベーションを続け、付加価値を提供できれば、まだまだチャンスはある」と述べた。

オープンソースソフトウェアの市場動向

モデレーター
Mitsui & Co. Venture Partners インベストメントパートナー 竹内寛氏
スピーカー
Palamida 最高経営責任者 Mark Tolliver氏
Socialtext 最高経営責任者 Ross Mayfield氏
Zimbra 社長 兼 最高技術責任者 Scott Dietzen氏

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]