ニッチ市場で身を立てる「Web 2.0」新興企業

文:Martin LaMonica(CNET News.com)
翻訳校正:尾本香里(編集部)
2006年02月07日 12時36分

 新興企業37SignalsのプレジデントJason Friedは、正真正銘のソフトウェア起業家だ。だが同氏は、ソフトウェア企業を始めるための従来の図式には乗りたくないと考えている。

 複雑で高価な製品を開発して市場に分け入っていく代わりに、Friedと同氏の同僚は、非常にニッチなソフトウェア分野で身を立てることを選んだ。同社は、個人管理およびプロジェクト管理アプリケーションのホスティングサービス市場に参入したのである。

 豊富な予算を持つ顧客に高額な製品を販売するという、新興企業が成功するためにこれまでとってきたアプローチは、Friedにとっては過去のものだ。

 「エンタープライズソフトウェアという考え方はもう古い。エンタープライズソフトウェアとは、図体ばかり大きくてまともに動かない製品や、予定通り利用できない製品、あるいは非常に高額な製品を意味する言葉だ」(Fried)

 エンタープライズソフトウェア市場は、過去と比べれば成長は鈍化しているものの、今も非常に巨大なマーケットである。しかし一部の投資家や起業家は、産業構造の変化によって、同市場に参入することはそれほど魅力的ではなくなりつつあると指摘している。

 Onset Venturesのエンタープライズアプリケーションおよびインフラストラクチャソフトウェア担当ゼネラルパートナーMark Hildenbrandは「投資家は、エンタープライズソフトウェアのビジネスモデルに対して消極的になっている。エンタープライズソフトウェア市場が困難な分野であることは、疑いようがない」と述べた。

 その代わりここ2年ほどで、オープンソース企業や、しばしば「Web 2.0」と呼ばれるウェブベースアプリケーションを開発する小規模な企業が台頭してきた。こうした企業の大半は、かつての新興ソフトウェア企業がベンチャーキャピタルから大量の資金を獲得して事業を営んでいたのとは異なり、比較的少額の初期投資でビジネスを始めることができる。

 例えば37Signalsのビジネスプランは、単純なホストアプリケーションを開発して提供し、小規模企業や個人に月額使用料を課金するというものだ。

 Friedによれば、37Signalsが最初のサービスを提供してから2年が経過したが、自己資本によって操業している同社はすでに多くの顧客を獲得し、負債もないという。また同社は、成功を収めているオープンソースのウェブ開発プロジェクト「Ruby on Rails」に対し、投資も行っている。

 「インターネットのおかげで50〜100万人の人々がつながるようになり、今ではニッチ製品の提供を効率的なビジネスとすることが可能になった」(Fried)

 企業家や投資家は、テクノロジーにさまざまな変化が起こったため、対象を絞り込んだ製品でも発展する可能性が高くなっていると話す。中でも成長著しいのが、ソフトウェアをサービスとして提供する、ホストアプリケーションだ。

 例えば、ウェブベースでワードプロセッサ「Writely」を提供するUpstartleの創業者らは当初、企業のイントラネット内で利用されるコラボレーション用およびドキュメント管理用のソフトウェアを開発する予定だった。しかし、その後、創業者らは考えを改め、インターネット上でワードプロセッサ機能を提供することに決めた。

 Writelyの共同創業者Claudia Carpenterは「以前は(ソフトウェアを提供しようと思ったら)、非常に多くの作業をこなす必要があった。しかし、今は比較的少ない作業で済む。単体の機能として開発されたものを、別のものと組み合わせていけばよい」と述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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