[午前10時18分更新] ソフトウェアメーカーのOracleは米国時間12日、ライバルのSiebel Systemsを58億ドルで買収すると発表した。Oracleが主要なライバル企業を買収するのは、2004年半ば以降、Siebelが2社めとなる。
Oracleの幹部らによると、この巨大買収は同社がSAPに対抗していくための「大規模な足がかかり」になるという。SAPは世界最大のビジネスアプリケーションベンダーで、Oracleにとっては最大のライバル企業だ。
SiebelはCRM(顧客関係管理)ソフトウェアの専門メーカーで、OracleはSiebelを買収することにより、4000社の顧客と340万人のCRMユーザーを新たに獲得することになると、同社は説明している。
Oracleの最高経営責任者(CEO)Larry Ellisonは、今回の買収について、パートナー各社や顧客企業からの要望に誘発されたものだと述べた。同士によると、顧客の1社であるGeneral Electric(GE)では、アプリケーションの調達先を1社に絞り、統合プロセスも簡略化したいと考えているという。
Ellisonはアナリストとの電話会議のなかで、「この買収はOracleの株主と顧客のためになる。GEのような最も大口の顧客から、われわれ2社に対して合併するよう呼びかけがあった」と語った。
Oracleは、Siebel株1株に対して10ドル66セントを支払う。これは、同社の9ドル13セントという9日の終値におよそ17%を上乗せした額。今回の買収は、Siebel株主と規制当局の承認を受けた後、来年に完了すると見られている。
Ellisonは、Oracleが103億ドルでPeopleSoftを買収しようとしていた際に、Siebelも買収先候補としてリストアップしていた。OracleによるPeopleSoft買収は物議をかもし、論争を巻き起こした末に、今年1月に完了された。
Siebelも、特に4月にMike LawrieがCEOを辞任してからは、何度も買収の噂が浮上していた。
Oracleによると、同社はSiebel買収のタイミングを計っていたという。
「Tom(Siebel)と私は、かねてから買収についていろいろと話をしてきた。ところが、われわれのほうはPeopleSoftの統合を完了しなくてはならず、大規模な合併は統合後2四半期程度をうまく乗り切ってからにしよう、という話をしていた」(Ellison)
Oracleの共同社長であるCharles Phillipsは7月、PeopleSoftの買収がほぼ落ち着き、同社は新たな買収先を探していると、CNET News.comに対して語っていた。
「われわれの規模を考慮すれば、さまざまな規模の買収を複数こなせる。プロセスは完全にマスターした」(Phillips)
Oracleは今年、このほかにも買収を実行している。同社は4月に、小売用ソフトウェアメーカーのRetekを5億ドルをわずかに下回る金額で買収した。また、7月初旬には、価格最適化用ソフトウェアを専門とするProfitLogicを買収。さらに先月には、インドのバンキングソフトウェアメーカーI-flex Solutionsにも6億5000万ドルを出資している。
SiebelをCRM戦略の中核に
Oracleは、SiebelのCRM技術に対する製品サポートを数年間は継続し、その取り組みのなかで同社の製品を「呼び物」として使うことを計画している。
「Siebelは今後われわれのCRM戦略の中心になる。PeopleSoftやOracleのCRMも引き続き販売するが、メインはあくまでもSiebelだ」(Ellison)
Siebelは近年、専門アプリケーションからフルコースの統合スイートを提供できる企業への顧客による乗り換えが明確になるなかで、財政的に苦戦を続けていたと、Siebelの創業者兼会長であり、またOracle幹部としてEllisonの下で働いたこともTom Siebelは説明した。
「ここ3〜5年の間に市場の力学に変化が生じた。2年前に望まれていたのは、2つ程度のカテゴリーで優れたものだった。だが今では、顧客やパートナーらが『本当に求めているのは先々のコストをコントロールできるアプリケーションスイートだ』と指摘している」(Siebel)
両社の顧客には重複するところも多いが、彼らはエンタープライズアプリケーションを1社のベンダーにまかせることで、複数のベンダーとの取引から生じる価格設定のばらつきや、システムのアップグレードや統合に関する悩みを解消したいと考えていると、Phillipsは述べた。
両社によると、Siebelのソフトウェアは大半がOracleのデータベース上で動作するという。また、SiebelのCRM技術と、Oracleのアプリケーションやミドルウェアは、業界標準に従ったアーキテクチャを共有している。
さらに、Siebelの技術も、PeopleSoftとOracleのソフトウェアの完全な統合を目的とするOracleの「Project Fusion」に組み込まれる。なお、PeopleSoft製品のサポートは2013年で終了することになっている。
Salesforce.comのCEO、Marc Benioffは、この計画を即座に非難した。同社は、SAP、Oracle、そしてSiebelの各製品と競合するASP型のCRMシステムを販売している。
「Oracleの戦略はシンプルだ。革新を行うのではなく、既存ソフトウェアを可能な限り買い集めて『Oracle Fusion』と呼び、そしてすべてのソフトウェアがOracleのデータベースを使うようにするというものだ。PeopleSoftに対して行われたのと同じことが、いまSiebelにも行われようとしている。Siebelは終わりを迎えるだろう」とBenioffは12日付けの声明のなかで述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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