例えばウェブブラウジングをしていて一度、見た情報をまた見たいと思うことがよくあります。でも、今、ウェブブラウジングで一般的なこれらの機能は、まったく工夫が凝らされていない状態で、まだまだ改良の余地があります。Firefox 3では、こうした点にも改良を加えていく予定です。
そう遠い未来ではありません。先ほど触れた、あまり手間をかけないアップデート、Firefox 2は2006年の第3四半期にリリース予定ですが、Firefox 3も2007年の第1四半期にはリリースする予定です。
確かにそうかもしれません。個人で参加している人にとっては、オープンソース開発は趣味で行われているもので、仕事からの逃避とかで休憩などに行われていることが多いようです。
一方、企業としてオープンソース開発に参加しているケースも面白くて、普段は競合関係にある会社らが、皆で同じひとつの目標に向かって協力体制を使って開発するという不思議な連帯感があります。ただ、自分の会社が参加している目的と、自分がそのオープンソースプロジェクトでやりたいこととかが直接関係がないような場合は、会社からのサポートも受けられず、結局、やりたい方のことは個人参加のような形で行うことになってしまうかもしれません。
私は今、Googleで自分のやりたい形でプロジェクトに関われているのでラッキーな方だと思います。
ただ、自分の関わりの多い少ないに関わらず成果がすぐに見えるのがオープンソースの魅力でしょう。会社の仕事では、会社の側の都合によって、開発したものがなかなか製品化されなかったり、場合によってはそのままお蔵入りになってしまうこともあります。これに対してオープンソースでは、ほんのわずかな成果でも確実に形になるわけで、その点においてはそれなりの満足感が感じられるものです。
そう、いわば「コミュニティーソフトウェア」ですね。Firefoxは、こうした個人プログラマーによるコミュニティーがあったからこそが実現したと思っています。給料をもらってFirefox開発をしていた人たちがいるのも事実ですが、彼らだけではFirefoxは今のようなものとはならなかったと思います。
というのも、お金を払われて仕事としてやっている開発では、重要なことだけに焦点を定めてその部分の開発だけを行うからです。そういった開発ではしばしば、それほど重要でない、プライオリティの低い案件は、見捨てられてしまいます。でも、オープンソース開発をホビーとしてやっている人たちはそういう小さな案件でも、関心があれば積極的に取り組んでくれます。たとえ貢献できる量が少なくても、世界中のプログラマーの集合的労力の成果はすごいものになります。
ご存知の通りMozillaはNetscapeから始まりました。このため最初はNetscapeの従業員が中心で、興味を持った外部の人間が何人か加わっているだけ、という状態でした。
しかし、その後、Netscapeがなくなり、Mozillaの開発で給料を支払われることがなくなります。その後も残ったのはMozillaについて真剣に考えている人たちだけでした。つまり、給料をもらっているから開発している人主体のコミュニティーから、好きだからやっている人たちのコミュニティーへの大きな質的変化が起きたのです。
こうした人たちが努力を続けて、FireFox 1.0が出る頃になると、Mozilla Corporationが誕生し、GoogleやIBMもMozillaの開発者を雇うようになっていたというのは面白い流れだと思います。
(しばらくの沈黙のあと)Firefoxをやっています(笑)。ただし、仕事としてやっているFirefoxのこととは別で、自分でやりたいと思っているFirefox開発をやっています。
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