徐々に忍び寄るデジタルアーカイブや公文書の長期利用に関する問題に積極的に取り組んでいる米国の州政府は全体のごくわずかだと、ある業界団体の幹部が懸念している。
全米州政府CIO会議(National Association of State CIOs:NASCIO)のエグゼクティブディレクターDoug Robinson氏は、ごくわずかな例外はあるものの、米国の大半の州は、「デジタル生まれの」文書の保持に関する包括的戦略を立てていないと指摘する。そのような文書は電子フォーマットで作成されており、紙の書類として保存されていない。
Robinson氏は、「州政府が、各種記録への永続的アクセスに対処するために何らかの法または指令を制定した例は極めてまれだ」とし、さらに「デジタルコンテンツを保存する際に使用するフォーマットが州ごとに異なる点が大きな課題だ」と付け加えた。
ミネソタ州では2006年3月に、州機関に「オープンなデータフォーマット」の使用を義務付ける法案が提出された。具体的には、州機関に標準ベースの製品の使用を義務付ける。同法案の支持者らは、プロプライエタリな製品やフォーマットの使用を避けることにより、州の情報に確実にアクセスできるようにしたいと考えている。
また同法案には、何が「標準」とみなされるのかの基準について詳細に説明されており、さらに、異なるIT関連の州機関に対する様々な責任が提案されている。
ミネソタ州が進める標準を使った長期データアクセスへの移行は、世間の注目を集めたマサチューセッツ州の例に続くものだ。
マサチューセッツ州の元CIOの事務所が、デスクトップアプリケーション向けの複数の標準の中からMicrosoft OfficeがサポートしていないOpenDocument Formatを選択したと発表し、業界に大きな波紋を呼んだ。2006年1月に新たなCIOを指名した同州は、現在システムの変更作業を進めており、2007年1月までに完了する予定だ。
Robinson氏は、多くの州が電子記録の保持に関する戦略を立てていないのには複数の理由があると指摘する。同氏によると、州のIT担当幹部の大半は、セキュリティや、複数のサーバを集約してコストを下げるといった速やかな対応を要する問題への対応に追われているという。
さらに、州機関、連邦政府機関を問わず、機関間の管轄が必ずしも明確ではないという問題もある。マサチューセッツ州の例では、技術標準の決定権限を持つCIOの事務所が、議員や公文書の事務所の干渉を受けてきた。
それでも、各州は数百万ものデジタル文書や州知事の施政方針演説の映像などのマルチメディアコンテンツを作成し続けている、とRobinson氏は語る。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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