米マサチューセッツ州は、Microsoft OfficeでサポートされていないOpenDocumentフォーマットに準拠したデスクトップアプリケーションを標準採用する最終決断を下した。
マサチューセッツ州は21日、新アプリケーションの採用に関するガイドライン「Enterprise Technical Reference Model(ETRM)」の最終版を掲載した。ETRMは、同州の各行政機関に対し、事務作業の生産性向上を目的に採用されるアプリケーションの文書フォーマットを新たに規定している。
同州は、新アプリケーション導入に関する意見聴取期間前の8月下旬に提案した通り、標準化団体OASISが策定した Open Document Format for Office Applications(OpenDocument)に準拠した製品のみを今後使用するとの決断を下した。
この決定に基づき、同州の各行政機関は、2007年1月1日までに現在使用中のアプリケーションからOpenDocument対応アプリケーションに切り替えることになる。新アプリケーションへ切り替えられるデスクトップPCの総数はおよそ5万台に上る。またETRMは、Adobe SystemsのPDF(Portable Document Format)フォーマットは「オープンフォーマット」と見なしうるとしている。
マサチューセッツ州がOpenDocumentの導入を決定したことにより、Microsoftは同州のアプリケーション製品の調達先から除外されることになる。オフィス向けアプリケーション市場を独占するMicrosoftは、すでにOpenDocumentフォーマットをサポートしない意向を表明しているためだ。
2006年下半期に発売予定のMicrosoftのオフィススイート「Office 12」では、Office文書はXMLフォーマットで保存される。XMLはOpenDocumentのベースであるが、Microsoftの幹部らは一貫して、同社はOpenDocumentのネイティブサポートは行なわず、その代わりに「フィルタ」を使ってフォーマットの変換を行なう方法を採用すると主張してきた。
OpenDocumentは、「OpenOffice」や、Sun Microsystems、IBM、Novellなどが販売しているOpenOfficeと同等のスイート製品など、複数のオープンソースアプリケーション製品で採用されている。
Microsoftのあるマネージャは23日、マサチューセッツのIT部門が策定したETRMの最新版が本当に同州の最終的な方針であるのか否かについて疑問を提起した。
Microsoftのインフォメーション・ワーカー・ビジネス・ストラテジー担当ゼネラルマネージャ、Alan Yatesは、「今回の決定はマサチューセッツ州の最終決断ではなく、この導入案に対しては多くの人々が疑問や懸念を提起しており、州務長官や州議会議員らもそれらと同じ疑問や懸念をいくつか表明したと聞いている」と述べ、さらに次のように続けた。「同州政府の一部で、この問題のさらなる徹底的調査の実施について検討されており、われわれは同州住民によるこの問題のさらなる再検討/評価を促していく」と語った。
マサチューセッツ州によるOpenDocumentの導入については、最終案がまとまる以前にも、賛成派、反対派双方から大きな反響を呼んだ。
MicrosoftによるPCソフト市場の独占的支配を打破するための最善策であるとして同州の方針を賞賛する声がある一方で、Microsoftやソフト業界団体は、同州の決断は選択肢をオープンソース製品に狭めるものだとして非難している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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