また、代替技術の促進には補助金が必要になることも多い。たとえば水素の場合、製造コストは天然ガスのおよそ2倍だと、スタンフォード大学の経済学教授Gerald Rothwell氏は語る。
「二酸化炭素の排出に対して税金をかけなければ、水素に投資する者を探すのは非常に困難になるだろう」(Rothwell氏)
さらに、水素なら完全にクリーンというわけでもないと、Rothwell氏は説明する。水素で走る車は二酸化炭素のような温室効果ガスこそ排出しないものの、水素を製造する段階ではかなりの二酸化炭素が発生するという。多くの水素製造業者は現在、メタンと水を混合し、摂氏815度まで加熱して水素を製造している。
しかし、この化学反応によって、水素1kgにつき9.3kgの二酸化炭素が生成されてしまう。二酸化炭素を地中に固定する技術の開発は、まだまだこれからだ。現在のところ、水素製造業者は二酸化炭素を大気中にそのまま放出していることが多い。
代替エネルギーのコストに対する認識も影響を与えている。米海軍大学院の研究者Eva Regnier氏によると、最近は多くのベンチャー投資家が太陽エネルギーその他の技術に資金を投じるようになったが、一般に投資家はこれまで、代替エネルギーへの投資に関して非常に臆病だったという。
「人々は、石油や電気の価格はじつに変動しやすいので手を出したくないと言って、代替エネルギーになかなか投資しようとしない」とRegnier氏は述べ、しかし実際には、価格変動は多くの人が思っているほど激しくないと指摘した。
代替エネルギーへ移行するには時間が必要だ。太陽エネルギーや風力エネルギーが、経済全体の2倍の速度で成長したとしても、2030年までに世界のエネルギー需要の1%ほどしかまかなえるようにならないと、スタンフォード大学フーバー研究所のシニアフェロー、Michael Boskin氏は予測している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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