FONが今後ユーザーを増やしていく上で、最大の課題は利用エリアの拡大だ。使える場所が限られていれば、ユーザーは増えない。しかし、FONのネットワークの広がりはユーザーの自主性に委ねられており、ユーザーが増えなければ利用エリアも広がらない。この2つはいわばニワトリと卵のような関係にある。
そこでFONでは、個人ユーザーだけでなく企業と提携することで、エリアの拡大を図ろうとしている。Coca-Colaとは自動販売機にアクセスポイントを設置することで交渉しているといい、街頭の看板などにも取り付けたい考えだ。また、ユーザーからアクセスポイントの利用料金を徴収できるというモデルには、レストランなどの店舗も興味を示すだろうとバーサフスキー氏は話す。さらにルータメーカーや流通事業者と組んで、FON搭載ルータの拡販も目指す。
ユーザーには、FONのネットワークがどこで使えるかがわかるように、アクセスポイントがある場所の地図を公式サイトで公開しはじめた。Google Mapsを利用しており、現在はスペインと米国の地図を公開している。
ネットワーク網を全世界に張り巡らせることで、通信事業者に対抗する勢力に育つ可能性もあるFONだが、「ミッションクリティカルな用途には向かない」とバーサフスキー氏は話す。FONが目指すのはあくまでも公衆無線LAN事業であり、通信品質の保証や警察への緊急通報などの対応は考えていないようだ。携帯電話事業者との競合についても、「エリアカバー率の点でFONは劣る。その代わり、携帯電話ではできない(動画などの)メディアアプリケーションでは優位だ」と話しており、固定通信や携帯電話を補完するネットワークを目指す考えだ。
FONの収益源は、BillとAliensが支払うアクセスポイント利用料金のみとなる。広告モデルについては、現在は考えていないという。損益分岐点となるユーザー数については明らかにしていないが、「社員は40人程度と少数で、月間40万ユーロほどの収入があればサービス運営コストは賄える」とバーサフスキー氏は自信を見せる。
日本での展開については、数カ月以内に日本法人を設立し、7月ごろにもBillとAliensの募集を始めたい考え。日本法人はFONの100%子会社とする方針で、伊藤穣一氏のアドバイスを得ながら事業を進めていきたいと話す。国内で20万ユーザーの獲得を目標とする。日本の通信事業者やISPともパートナー関係を結びたいとしており、今後話し合いを進めていく計画だ。
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