ユーザーが自分でアクセスポイントを開設して収益を得ることにはISPからの反発も予想される。FONではISPと提携し、収益の一部をISPと折半することでこの問題を解決しようとしている。すでにスペインのJazztelやスウェーデンのGlocalnetといった大手のISPと提携したとのことだ。
「すでに公衆無線LAN事業を始めている企業でも、うまくいっていない事業者は興味を示してくれるようだ。FONから売上げの一部を得ることでISPの収益が増えたり、ユーザーの解約防止につながったりするというメリットがある」と、デジタルガレージ共同創業者で、FONの日本参入のアドバイザーである伊藤穣一氏は説明する。
FONは広告を一切出していないが、ブログ上で話題になってユーザーが増えている。現在、世界中で2万9000人以上のユーザーがいるといい、日本でも40人ほどがすでに登録しているとのことだ。
これまでは主にビジネスパーソンが公衆無線LANのユーザーになると想定されてきたが、バーサフスキー氏の考えは違うようだ。FONが狙うのは、携帯型ゲーム機やポータブルオーディオプレーヤーのヘビーユーザーだ。
「2005年に起こった大きな変化、それはニンテンドーDSとPSP(プレイステーション・ポータブル)が無線LAN対応になったことだ。また、今後iPodなどのポータブルオーディオプレーヤーは無線LANを通じて楽曲を購入できるようになるだろう」(バーサフスキー氏)。こういったユーザーはいつでもどこでもゲームや音楽を楽しみたいと考えており、FONにとってはうってつけのユーザーになるというわけだ。
現在は、FONのネットワークを利用するためには、PCからブラウザ上でFONのサーバにアクセスしてユーザー認証をする必要がある。しかし今後はユーザー認証を簡単にできるようにする計画で、例えばゲーム機をアクセスポイントに近づけるだけで、自動的に認証がされるようにしていきたいとバーサフスキー氏は話す。
ユーザーがFONのサービスを利用するには、ファームウェアを書き換えられるルータを用意する必要がある。現在ではLinksys製、もしくはバッファロー製の一部の製品が対応しているという。ネットワークに関する詳しい知識を持たない人でも簡単に利用できるようにするため、FONでは7月にも、専用ソフトをあらかじめインストールしたルータを発売する計画だ。
しかし、自分が利用するネットワークを他人に公開することは、セキュリティ上のリスクになりうる。この点についてバーサフスキー氏は、さまざまなセキュリティ対策を施していると自信を示す。例えば、FONのネットワークを利用するにはユーザー認証が必要なため、不正な行為をしたユーザーも特定できるというのだ。また、ルータの持ち主とほかのユーザーの通信を分ける仕組みもソフトウェアに内蔵しているという。
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