一方、Nvidiaにとって知的所有権の問題は二次的なものだ。「グラフィックカード用のドライバソフトを作成するのは非常に難しく、オープンソース化しても役に立たないだろう」と、NvidiaのAndrew Fear氏(ソフトウェアプロダクトマネージャー)は述べている。しかも、同氏によると顧客はオープンソースのドライバを求めていないという。
一部のドライバ設定ツールや、カーネルにつながるドライバコンポーネントなど、Nvidiaのコンポーネントのなかにはオープンソースのものもある。「オープンソースが理にかなっている部分では、その良さは確信している」(Fear氏)
ATIとNvidiaは、いずれもApple Computerの「Mac OS X」やMicrosoftの「Windows Vista」に対抗できる3DインターフェースをLinuxに搭載しようとする取り組みに協力している。Tippett氏によると、ATIはNovellの「Xgl」ソフトウェアに関して「Novellと密接に」連携しているという。
Nvidiaは、Red HatのAccelerated Indirect GLX(AIGLX)形式による設計のほうを好んでいると、NvidiaのAndy Ritger氏(Unixグラフィックドライバ担当マネージャー)は言う。「見た目にも楽しい機能は大変素晴らしい。個人的にはVistaよりもこちらのほうが格好いいと思う。もっとも、私の見方は偏ったものだが」(Ritger氏)
Linuxの生みの親であり開発を主導するLinus Torvalds氏は、Linuxカーネル由来ではなく、もともと他のOSを対象に開発されたものだという理由で、いくつかのプロプライエタリなモジュールは差し支えないと以前に主張したことがある。Linuxカーネルから派生したものであれば、GPLを適用させることが必要になる。
Torvalds氏は2003年に行ったメーリングリストへの投稿のなかで「従来から、『Andrew File System(AFS)』モジュールのオリジナルのようなものは存在していた。このモジュールはスタンダードなファイルシステムで、本来Linux用に作成されたものではなかった。私としては、この例は派生物にあたらないと思う。そして、AFSの関係者にはそう伝える用意があった」と述べていた。
FSFはTorvalds氏の意見に真っ向から異論を唱えている。「もしLinuxのカーネルがライセンス条件の点で、GPLの純然たる適用対象ならば、動的であろうと静的であろうと、プロプライエタリなグラフィックカード用のドライバをカーネルに接続することは認められるはずがない」と、FSFの顧問弁護士であるEben Moglen氏は、2006年1月の取材で答えていた。
カーネルの開発者たちは、数年前にプロプライエタリなモジュールの読み込みを阻止する機能を搭載するなどして、プロプライエタリドライバを排除してきた。2月にはカーネルプログラマーで、Suse Linuxを販売するNovellに勤めるGreg Kroah-Hartman氏が、彼の管理するUSBサブシステムのためにこうした阻止機能を始動させるパッチを搭載した。
オンラインで投稿されたKroah-Hartman氏のパッチに付属するメモによると、2008年の2月以降「USBサブシステムにクローズドソースのカーネルドライバを登録することはできなくなる」という。プロプライエタリな機能を持つものは、カーネルレベルよりも上へ動かすことができると同氏は主張する。しかし、プロプライエタリなモジュールに反対する同氏の姿勢から、一部のISDNネットワーク用機器が使えなくなるではないかという懸念が持ち上がってしまった。
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