LinuxベンダーのRed HatとチップメーカーのIntelは先週Linux向けに、あるソフトウェアのプロトタイプをリリースした。これは、ウイルスの感染拡大を食い止めるよう考えられたセキュリティ技術をサポートするものだ。
「NX(「no execute」の略)」と呼ばれるこのセキュリティ技術は、IntelやAMD、Transmetaから出ている一部の「x86」系チップに組み込まれる。NX技術は、ウイルスやワームが感染を拡大させるために使う脆弱性をブロックするよう設計されているが、OS側でサポートしていなければこの機能を利用できない。
米国時間2日に、Red Hatで働くIngo Molnarというプログラマが、Intelから出されたプロトタイプをベースにつくったNX技術をサポートするためのパッチを発表した。
Microsoftでも、Windows Service Pack 2(SP2)で、NX技術をサポートする予定だ。SP2は現在、第3四半期にリリースされると見られている。
Molnarがこのパッチを公開した後、Linuxの生みの親であり、現在も開発の中心人物であるLinus Torvaldsは、Linuxカーネル・メーリングリストを通して、NX技術を有効にした場合、いったいどのくらいの数のLinux用プログラムが利用できなくなるのかという質問を投げた。影響を受けるプログラムはごくわずかだと聞いた同氏は、「ならば、デフォルトでNXを有効にした方がよさそうだ」と述べた。
TorvaldsはNXについて、重要な技術であり、一部のアプリケーションで問題が起こるというリスクを冒してでもこれをサポートすべきだろう、と語った。「ネット上を行き交うメールの大半がスパムとなってしまったように、セキュリティ関連の大問題を目にした人は多いと思う。だから、自分の使っている風変わりな旧式のアプリケーションが、Linuxのデフォルト設定変更のせいで使えなくなったと不平を言う人に対して、そうなった理由を説明するのはささいなことであるはずだ」とTorvaldsは主張する。
Intelプロセッサを採用するマシンの大多数はWindowsで動いているが、同社はLinuxのサポートも行ってきている。NX技術以外にも、同社は今年に入り、Linux向けのワイヤレスネットワーク接続用ドライバのプロトタイプをリリースしている。ちなみに、Windowsでは1年近く前に同様の完全サポートが実現されていた。
Intelのプログラマらは、このほかにもLinuxのいろいろなプロジェクトに参加している。そのなかにはItaniumプロセッサや、USBハードウェアのサポートなども含まれる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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