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ライブドア事件に学ぶネット企業の本質 - (page 3)

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【技術】
 ここまでライブドアが発展できたのは、基本的にその技術のたしかさと先見性にあると考えてもよいだろう。実際、ライブドアの技術の高さに関しては、既に複数のブログで言及されている他、インターネット上でその技術の高さを裏付ける関連記事をいくつも発見できる。当然、上に挙げたほどのアクセス数を誇るサイトを日々維持し、管理していることは高い技術力の証左といえるが、特にこれまで行ってきたオープンソースへの取組は高く評価できる。

 大手IT企業でもオープンソースへのコミットは腰が引けていた2000年に、ライブドアはFreeBSDの普及を目的に、米Berkeley Software Designに500万ドルを出資するなど、積極的に取り組み、その後オープンソース関連の技術者を数多く輩出している。新たな技術を活用したサービスへの対応も早く、一般ユーザーが簡単に始められるブログサービスを率先して提供したのはライブドアである。

 また、セシール等の大型買収の話ばかりが取り沙汰されるが、2005年に電子出版のソフトウェアを開発するファイブデジスターへ出資するなど、技術動向に対する展望がなければ、思いつかないような出資もしてきた。

 こうしたことから考えると、「技術を持っていない」といった指摘は間違っている。そもそも、「技術を持っていない」、あるいは「イノベーション」を興していたわけではないから虚業だという考え方は明らかにおかしい。全ての企業がグーグルやアマゾンのような技術を持っていると想定すること自体に無理がある。

【収益源】
 もちろん、粉飾決算の疑いをかけられているので現段階で過去の財務諸表を基にしてライブドアの収益源に関して触れるのは問題があるだろう。しかし、「他の業務よりも証券業務からの収益が多いから“虚業”だ」というのはおかしい。インターネットを通じた証券業務はインターネットビジネスの本道の一つだからだ。

 そもそも、多くのインターネットビジネスは、広告や金融、旅行等といった既存のビジネスに関する知識、あるいは既存の通信技術とインターネットの技術を組み合わせることで発展してきた。例えば、アマゾンはインターネットに関する知識と小売りに関する知識を結びつけることで、「少量多品種の商品をインターネットで大量に提供する」という新しい価値を生み出して成功した。また、イー・トレード証券はインターネットに関する知識と金融に関する知識を結びつけて「インターネットによる無店舗証券取引」で先駆けた。

 小売であろうと証券であろうと、既存のビジネスをインターネット上に場所を変えて行うことは、れっきとしたインターネットビジネスである。ライブドアほどの規模になったインターネットビジネスのデパートが、インターネット上の証券業務から収益を得ることは本来の実業、つまりインターネットビジネス以外の何物でもない。

本質の勢いはまだまだ止まらない

 もちろん、ライブドアが代表的なネット企業であるがゆえに、ネット企業全般に疑いの目が向けられるという側面もあろう。しかし、実体のない事業と実体のない経営とは大きく異なる。ライブドアの展開してきたインターネットビジネスに実体がなかったわけではなく、企業を成長させるための経営手法に実体がなかっただけである。実体のない経営による不信感から生まれたイメージを、事業に対する不信感にすり替えさせてはならない。

 僕はネット企業に肩入れしている。それに、インターネットを通じて、今後実現されるべきアイデアの数は、依然として現存する企業や潜在的な起業家の数よりもはるかに多いと信じている。だから、ライブドアの経営陣が自社の実力とインターネットビジネスの将来性を心から信じずに、短期的かつ見かけだけの利益に目がくらんだことをとても残念に思う。

 絶好調だった2005年のネット企業の勢いをそのままに、ドリコムが2月9日にIPOを好調に果たしたことは、業界にとっていいニュースであろう。それに、ミクシィをはじめとして今後の上場を噂されるネット企業は多い。日本経済全体のためにも、本質的な理解のないまま、今ネット企業の勢いをそいではならない。

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