USENとライブドアは3月16日、インターネットメディアおよびサービスコンテンツの分野における業務提携を正式に発表した。同日、共同で記者会見を開催した両社は、提携に至った経緯などを説明した。
会見の冒頭、ライブドア 執行役員社長の平松庚三氏は、「今回の事件で多大な迷惑をかけたことをおわびする。事件以降のライブドアとしての使命は、まず信頼回復が一番だ。その中で、幸運にも高い信頼と経営基盤を持つUSENとの業務提携に至ったことは大きな喜びだ」と述べた。
ライブドアの再生にあたっては、「複数の候補者と話し合いを持った」と平松氏。その中でUSENを提携先として選択した理由を同氏は、「再生を迅速に進めるためには、シナジー効果が高く、相性のよい事業会社を選びたかった」としている。
笑顔で握手を交わすUSENの宇野社長(左)とライブドアの平松社長(右) |
USENには、ライブドア側からアプローチした。ライブドアの再生を考えるにあたり、「元に戻るだけでなく、さらに成長できるパートナーを考えたところ、USENが候補にあがった」と平松氏は言う。「USENは動画配信サイト“Gyao”など、ライブドアにはないコンテンツを持ち、ポータルサイトを運営するライブドアとも親和性が高い。また、自由な企業文化や元気の良さなどライブドアと似た面も多く、相性の良さを感じた。ライブドアにとって、もっとも望ましいパートナーだ」(平松氏)
一方の宇野氏も、「ライブドアは高いトラフィックを集め、多彩なサービスメニューを持つポータルサイトを運営している。USENは、2005年4月にGyaoをスタートさせ、コンテンツ数1500、ユーザー登録数800万人を突破、広告メディアとしての価値も高まってきた。USENとライブドアは補完関係にあり、2社の持つメディアをうまく融合すれば、さらなるユーザーの増大につながる」と述べた。
またUSENは、3月14日に携帯電話向けの無料放送サービス「モバイルGyaO」も発表しており、「ライブドアもモバイル用のポータルを持つことから、合体の効果がより高まる」(宇野氏)としている。
ライブドアは、事件発覚後もフジテレビジョンとの関係を大切にするとしていたが、今回フジテレビは同社の保有するライブドア株をすべてUSENの宇野氏に譲渡している。ただ、資本関係はなくなった後も「こうして巡り会えたのは縁だから、今後も何らかの形で関係を継続させ、シナジーが発揮できればいいと考えている」と平松氏は述べた。
フジテレビの代表取締役会長 日枝久氏も、USENとの共同会見の中で、宇野氏に株を譲渡したのは、USENとライブドアとのシナジー効果が非常に高い企業と判断したためだと述べていた。
ただし、フジテレビは、証券取引法に基づき、ライブドア株式に関して被った損害の賠償を求める方針だ。請求額は「弁護士と相談した上で決める」(日枝氏)としているが、基本的にはフジテレビが株の取得に際して支払った額と、今回宇野氏に売却した額の差額を請求する見込みだ。
平松氏は、損害賠償の件ついて、「慎重に弁護士と相談の上、対応を考える」としている。
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