IPOを果たしたドリコムの成長戦略に迫る

西田隆一(編集部)2006年02月27日 08時00分
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 ブログのソリューションやブログ関連の広告事業で成長している京都発の企業、ドリコムが2月9日に東京証券取引所マザーズ市場への新規上場(IPO)を果たした。

 ライブドアショック後のインターネット関連企業の上場ということで多くの注目を集めたが、株価は2月13日に公募・売り出し価格の4.6倍となる347万円の初値を付けその後も上昇し、時価総額が一時は1000億円を超えることとなった(2月23日の時点では時価総額は880億円)。新興市場の株価が下がる中で、ドリコム株に集中した結果ともとれるが、成長の期待値も高いという市場の読みも含まれていると考えられる。

 この期待にドリコムはどう答えるのだろうか――。若き経営者である内藤裕紀氏にドリコムの今後について話を聞いた。

--およそ10億円の資金を今回のIPOで調達したわけですが、この資金によってどのようなことを仕掛けていきますか。

 なぜこのタイミングでIPOをしたのかというところからお話しましょう。

 会社の投資は銀行にお金を預けるのと一緒で、低金利なときにお金をいくら突っ込んでもお金は増えません。銀行が高金利なときにお金を入れれば金利が生まれるように、お金を入れるタイミングがあると思っています。1年ほど前に弊社ではお金を入れるタイミングが来るだろうという想定をしたのです。

 それは、業界の変化の中で、ブログのブームが弊社を後押ししてくれた部分がすごくあるのですが、それ以外に大きなトレンドとして2つあって、ソフトウェア業界とインターネット広告業界に大きな変化があるだろうと思ったのです。

 ソフトウェア業界に関しては、デスクトップの世界からブラウザの世界に移りつつあるところで、海外でも最近になってSAPがASPに参入しましたが、ASPの市場は今後伸びるだろうと思ったわけです。中小企業のソフトウェア投資自体は毎年20%以上伸びて、5兆円ぐらいの市場になっているのです。そこでデスクトップの世界からブラウザへの変化については大きく展開をしたいと考えています。

 もう1つは、インターネット広告の中のいわゆる「ロングテール」(需要曲線の需要が低い部分を集めた部分)と言われているものが顕著に現れていることです。ヘッド(需要曲線の需要が高い部分)はメディアスペースを販売するヤフーなどがありますが、その市場に対してわれわれが今からメディアをつくるというようなビジネスに参入する予定はありません。

 ただ、テールを考えた場合に、1つのサイトのビューが1日100ページビューぐらいしかないメディアでは、メディアスペースを売ることはできなくて、成果でしか販売できません。その成果を販売するためには人間の力だけでなくて、技術の力が必要です。それを可能にしている技術は今世界に3つあると思っています。それはリスティング広告とコンテンツマッチング広告とアフィリエイトですが、このうちのコンテンツマッチング広告は「ブログクリック」としてサイバーエージェントとやっています。この分野がたぶん大きくなると思っているので、リスティング広告とコンテンツマッチング広告に投資をしています。

 以上のように大きく2つの分野に投資をしていくのですが、特に後者は研究開発の要素が強いので、会社としてもっと研究開発を推し進めて、日本だけではない世界に打って出たいと考えています。

 前者では、中小企業に向けた販路の開拓が必要になるので、代理店も含めた全体的な営業力をつけていく必要があります。ドリコムはもともと営業部を持っていなかったので、相当の営業力のある会社と場合によっては社外契約することや人材の採用、プロモーションなどに力を入れていきます。これによって、ソフトウェア業界がデスクトップからブラウザに変わっていくところで、どれだけ勝てるかに挑戦していきます。

--現在は売り上げのほとんどがブログのソリューションです。

 CMSをブログというのは微妙ですが、そこをブログに当てはめるとほぼブログですね。

 自社事業のドメインは3つあって、「大手企業向けソリューション」と「中小企業向けASP」、そして「広告の配信技術」ですが、大手企業向けソリューションはあまり投資をしないでも伸びているので、そこは投資分野ではないのです。実際、ブログに進出したGMOやインデックス、オリコンなどのブログのソリューション、また社内ブログも含めたソリューション事業はどんどん伸びています。前期の上期と今期の上期を比較しても売り上げが7.5倍伸びています。

--広告事業はどれぐらいまで伸びるのでしょうか。

 今は売上の5%程度ですが、これが来期で20%ぐらいまでは伸びると思っています。大手企業向けのソリューション事業もさきほど申し上げたように伸びているのですが、その上に中小企業向けのASPが伸びていって、最後にインターネット広告が伸びるという三段ロケットのようなことを考えています。

 大手ソリューションは人員連動性が高いので、営業力が必要になります。中小企業向けのASPは営業にかける手間がそれよりは減ります。そして、インターネット広告はほとんど営業の手間がなくなるというように、どんどん人員連動性が低くなっていくようにはしています。だから利益率が高くなってきます。

--総売上に占める比率は低くても、利益率から見るとインターネット広告のほうがよくなるだろうということですね。会社の成長にとって営業力よりも技術力のほうが必要だとお考えでしょうか。

 1年前は営業部がなかったので、(ここまで成長できたのは)それだけ技術に対する知名度が高いと思っています。ただ、われわれは技術というよりも発明という視点を重要視しています。面白いものをつくったら、狙いが正しく合っていて、販売戦略がうまく乗れば結果が出るという体験を繰り返してきたので、強みはそこにあると思っています。

 発明家として世界市場を見たいと思っています。そうすると全部投資を回収できなくてもいいものにも目を向けなければならないと思っていて、海外にはないだろうと思われるサービスの開発を2つほど進めています。日本のネットのメディアサービスは輸入大国になってしまっています。なので、それは最初から英語の対応をしていこうと考えています。

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