日経平均株価は2005年来の高値を更新し、1万7000円に肉薄するなど全体相場は急速な回復を見せている。しかし、こうした中でも東証マザースを中心とした新興3市場の反発は鈍いままで、“ライブドアショック”がいまだに尾を引いているかたちだ。この低迷ムードを打開するチャンスとして、新興市場投資家が期待を寄せているのが、2月9日に迫ったドリコムの東証マザーズへの新規上場だ。ブログ関連サービスのリーディングカンパニーを目指すドリコムは、果たして新興市場浮上の救世主となるのか。
2005年12月から2006年1月半ばまでの新興市場の快進撃をけん引したのは、ネット・IT関連銘柄だったことは異論を挟む余地はない。ところが、東京地検特捜部によるライブドアへの強制捜査をきっかけに、新興市場を中心にネット・IT関連銘柄へ一気に売りが噴出、これにより東証マザーズ指数は20%以上もの大幅な下落に叩き込まれた。さらに、市場関係者の間には、大幅な株式分割をてこにした高株価・高時価総額戦略を武器に短期間で旺盛なM&A(企業の合併・買収)を行うなど、ライブドアとほぼ類似する経営手法で急成長を遂げてきた企業が“第2のライブドア”になりはしないか、との懸念がくすぶっていることも確かだ。
そこで、こうした沈滞ムードの払拭期待を担って登場するのがドリコムだ。同社は無料ブログサービスの運用を通じて蓄積したノウハウを生かし、ブログをビジネスで利用したい事業会社に対して、ブロク関連の様々なシステムの提供を主力事業としている。具体的には、(1)ネット関連企業向けの大規模ブログホスティング用トータルシステム、(2)社内情報を共有するためのブログシステム、(3)中小・個人事業主向けのホームページ簡易運用システム――の3つの商品を揃えている。大企業向けはパッケージ方式、中小企業はASP(ソフト期間貸し)方式で主に提供する。社内情報を共有するためのブログシステム「ドリコムブログオフィス」は、ブログの情報発信、情報整理、コミュニケーションという特徴を活用している。導入企業は、従業員にそれぞれ個人のブログや複数人で管理するブログを開設し、従業員はブログを利用して情報発信やコミュニケーションを図れる。
2005年11月時点の導入実績では、(1)がGMOインターネット、オリコン関連会社、ゴルフダイジェスト・オンラインなど12社、(2)が大企業中心に84社、(3)が171社に達する。同社グループの収入形態は、導入企業からのシステムの使用許諾にかかわる導入時の初期ライセンス収入、追加機能の開発収入、ブログサービスの保守・管理のための月額保守収入――の3つから成り立っている。中小・個人事業主向けのホームページ簡易運用システムは、ユーザーのスキルが高くなくても、ホームページの構築や管理、運用を、ブログと同様に簡易かつタイムリーに行えるのも大きな特徴だ。
もう1つの業務は検索エンジン事業だ。大量のデータから特定の法則性を高速に抽出する「マトリックスクラスタリング」技術を武器に事業展開している。2004年9月からは、サイバーエージェントとの共同事業としてコンテンツ連動型広告事業「Blog Click」を開始している。同社は広告売上高に応じた技術ライセンス収入を受け取っている。
さらに、ややミーハー的な市場関係者の間では、「ドリコムが、設立わずか4年の新興企業で、社長の内藤裕紀氏が京都大学出身の弱冠27歳。さらにその風貌がジャニーズ系タレントも顔負けの超イケメンとあって、マスコミの人気を集めることは間違いない」との見方も出ているほどだ。1月31に公表された公開価格は1株あたり76万円となっている。
中堅証券のIPO担当者は、「76万円という公開価格は、今期予想の連結PERで試算すると125倍という超割高水準といえる。しかし、いま一番の人気業種である“ブログ関連”の有力企業というプレミアムは大きい。ライブドアショックで熱狂した部分がやや冷めて、ちょうど良い株価が形成できるのではないか。初値が公開価格の2倍に当たる150万円を大きく超えなければ、その後も順調な株価推移となりそうだ。ただ、最初から人気が過熱して、初値が250〜350万円程度になった場合、上場後に乱高下相場となる懸念もありそうだ」としている。
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