ヤフー10〜12月期決算、好調ながらYSTの影響など気になる点も

別井貴志(編集部)2006年01月24日 00時55分

広告増もスポンサーサイトが伸び悩み

 ヤフーの2006年3月期の第3四半期(2005年10〜12月)連結決算は、ブランディング広告が大きく伸びたことや、オークション、ショッピングが好調だったことを受けて、引き続き大幅増収増益だった(下表参照)。

ヤフー2006年3月期第3四半期連結決算(2005年10〜12月、単位:百万円)
総合計 3Q
(2005年10月21日時点予想)
売上高比率 前年同期比
売上高 46,621
(44,600〜47,700)
100.0% 50.6%
 広告売上 18,097 38.8% 71.5%
 ビジネスサービス売上 9,467 20.3% 61.7%
 パーソナルサービス売上 15,735 33.8% 23.6%
 その他売上 3,322 7.1% 82.0%
 売上原価 4,251 9.1% 90.4%
 売上総利益 42,370 90.9% 47.5%
 販売費・一般管理費 21,246 45.6% 60.1%
営業利益 21,123 45.3% 36.6%
営業利益率 45.3% - -
経常利益 20,562
(8,700〜21,150)
44.10% 32.90%
純利益 12,646
(10,850〜12,350)
27.20% 36.70%

 広告の売上高は、ブランディング広告が好調で前年同期比71.5%も増加した。その中で、10月3日にYahoo!検索をロボット(Yahoo! Search Technology、YST)主体の検索結果にリニューアルした影響が見られた。PVとユニークユーザー数自体は、リニューアルした10月に激増し、その反動で11月は横ばいだった。そして、12月は例年どおり季節的要因で減少した。

 こうした状況の中、マイナスの影響が見られたのは検索結果ページに表示されるスポンサーサイト広告のリンクで、クリック率が下がっているという。代表取締役社長の井上雅博氏は「検索結果の精度や品質が向上したことで、検索結果のクリックスルーレートが伸びた一方、スポンサーサイトのクリック率が減少したのはジレンマだ」と語った。

 実は、ヤフーの中でも検索サービスだけは特殊で、米Yahoo!のシステムをそのまま利用している。1クエリー(検索)に付きシステム利用費用が発生する契約で、ボリュームディスカウント(ある一定の規模になったら割安になるなどの措置)もされない。こうしたため、検索を利用する人が多いほど費用負担も増加していく仕組みで、井上社長は「こうした契約は今後見直すつもりだ」としている。

 また、年末商戦の盛り上がりを受けて、オークション事業部において2005年12月末のストア数が同78.5%増の5911店舗、ショッピング事業部においても2005年12月末のストア数が同110.5%増の7760店舗と大きく拡大し、年末商戦の盛り上がりも寄与して取扱高が伸張した。なお、従来ストア数については開店済みストア数を集計してきたが、この第3四半期より契約完了(課金)ストア数に変更している。

 このように好調なコマースは携帯電話向けサービスにも現れている。Yahoo!モバイルの2005年12月月間PVは11億9000万PVと、総PVの4.1%を占めるまでになっている。また、モバイル版の「Yahoo!オークション」は同月間7億PV、累計ユニーク入札者数は127万ID(2005年1〜12月)、モバイルコマース第3四半期取扱高は約188億円(コマース取扱総額の8.8%)だった。

 ただし、こうした売り上げの伸びをコストの伸びが上回っている状況に変化はない。井上雅博氏は「以前から申し上げているとおり、将来へのさらなる成長へ向けた人員、設備面への投資は継続している」と述べ、営業、経常利益率は2004年以降下がり続けている(グラフ参照)。第3四半期の人件費は39億2000万円と前年同期比58.2%増加した。このほか、アフィリエイトの報酬などで販売促進費も同2.6倍にかさむなど、利益を圧迫した。

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計画通りとはいえ、利益率は2004年以降下落を続けている

 こうした内容はほぼ予定どおりで、売上高と営業利益は事前予想内に収まった。純利益が予想の範囲を上回ったのは、Yahoo! Koreaの株式売却により特別利益9億4000万円を計上したためだ。

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