ヤフー10〜12月期決算、好調ながらYSTの影響など気になる点も - (page 2)

別井貴志(編集部)2006年01月24日 00時55分

第4四半期の見通しは不確定

 2006年3月期第4四半期と通期の連結決算見通しについては以下のとおりに発表した。ただし不確定要因が多く、堅めに見積もってはいるものの修正の可能性をはらんでいる。まず、セブン-イレブン・ジャパンとヤフーは、両社が出資するセブンアンドワイの資本移動を両社間で2006年2月をめどに行うことで合意している。セブンアンドワイの出資比率は、ヤフーが51.3%、セブン-イレブンが30.8%となっているが、移動によりセブンアンドワイはセブン&アイHLDGS.の連結子会社となり、ヤフーでは持ち分適用会社となる。

2006年3月期第4四半期と通期の連結決算見通し(単位:百万円)
2006年1月23日現在
(連結ベース)
2005年度
第3四半期
(実績)
2005年度
第4四半期
(見通し)
2005年度第1〜3四半期累計
(実績)
2005年度通期
(見通し)
売上高 46,621 48,600〜51,800 126,638 175,239〜178,439
経常利益 20,562 20,350〜22,800 56,926 77,277〜79,727
四半期純利益 12,646 12,300〜13,850 34,099 46,399〜47,950

 先の見通しには資本の移動が2月14日までに完了することを前提として織り込まれているが、手続き完了が2月14日以降にずれ込んだ場合には決算上は2007年3月期第1四半期(2006年4〜6月)にその影響は先送りされる。井上氏は「14日までに完了するかどうかはきわどいところ。特に売上高の数字が大きく変わる可能性があるが、まだ規模が小さいために利益面での影響は薄い。いずれにせよ、はっきりししだい公表する」とした。

 このほか、広告は通常1〜2月が厳しい時期で、年度末の3月にどれだけ駆け込み需要があるかで好不調が決まるが、なかなか読みづらい面があるようで、コマースなどの広告売り上げも低めに見積もっている。

 また、ソフトバンクとの共同出資により第3四半期にTVバンクの運営を開始した。そして、メディア事業部では「Yahoo!動画」を動画コンテンツのポータルとしてリニューアルし、有料配信モデルに加えて、無料コンテンツに動画広告を入れる広告収入モデルを推進した。「動画広告の市場は2兆円ある」(井上氏)が、この動画広告はまだ第4四半期(2006年1〜3月)までは無償のお試し期間なので、売り上げはたたない。

 動画広告の収入は、2007年3月期第1四半期(2006年4〜6月)から見込めるわけだが、すぐには大きくならない見込み。井上氏は「動画コンテンツが100あるとしたら、そのうちネットで流してもいいのは5〜10程度。コンテンツ提供者と協業しながら、まずはネットでの流通を促進していくことが重要だろう。まだ2〜3年は時間がかかる」と予想している。

 さらに、人件費について井上氏は「これまで各事業部共に大きく成長する見込みから基本的に投資も青天井として考えてきた。1年間で1000人増えたので、これからはいままで以上に事業部ごとの1人あたりの売上高や利益をしっかり見ていこうと思う」として、来期はその転換点として捉えた。また、設備投資については、「現状のピーク時に比べて2倍は(アクセスなどが)耐えられるように設備投資を進めたい。特にライフラインの観点から見れば、ニュースや災害情報などついてはピークに比べて10倍以上の能力にしたい」と語った。

 なお、2006年3月期通期の1株あたり配当金は前期の実績である484円より331円〜325円減額の153円〜159円にする予定だ。しかし、ヤフーは2005年5月と11月にそれぞれ1株を2株にする株式分割を実施しているので、実質的には増配だ。

 最後に、ライブドア事件が与えた影響については「ニュースやトピックなどを中心にPVは増えていると思う。広告への影響は軽微だ」とした。

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