FeedBurnerに懸けるGMOアフィリエイトの作戦

インタビュー:別井貴志(編集部)
文:野田幾子
2005年12月28日 10時00分

 2005年9月にGMOアフィリエイトはフィードの配信管理システムサービス「FeedBurner」を提供するBurning Door Syndication Servicesとの業務提携を発表した(関連記事)。

 数ある配信サービスの中からFeedBurnerを選択するにいたった経緯や、今後開始される国内サービスでの展望や課題などについて、「New Industry Leaders Summit 2005 Autumn」の会場でGMOアフィリエイトの代表取締役社長を務める井上祥士郎氏に聞いた。

--Burning Door Syndication Servicesとの業務提携に至った経緯を教えてください。

 私は2004年8月にGMOホスティング アンド テクノロジーズ(現 GMOホスティング&セキュリティ)に入社し、ホスティング事業を担当してきました。新しいビジネスとしてアフィリエイトに取り組み、その一環として広告ビジネスのホスティング付加サービスとしてRSSが活用できるのではないかと考えたのです。

 それがRSSフィードサービスと手を組もうと考えたきっかけですが、FeedBurnerが技術的にもっともおもしろい仕組みを持っていたので、2004年11月頃に日本での展開に興味はないか話をもちかけました。

 その頃グループ全体としてアフィリエイトに力を入れることになり、GMOアフィリエイトを設立しました。アフィリエイトや広告のビジネス自体、RSSでもできるし、今後も取り組んでいくので、FeedBurnerとの窓口になっていた私がそのまま進めました。

--フィード市場のリーディングカンパニーが複数存在する中で、FeedBurnerを選択したのはなぜでしょう。

 実は、FeedBurnerのほかにも、FeedSter(日本では三井物産と提携)をはじめとして、いくつかのフィード配信サービス企業へコンタクトをとりました。しかし、その中でもFeedBurnerは、ビジネスモデルが一番興味深かった。もとはモバイル情報の交換技術を作っている会社なので、XMLの情報交換に慣れていて、APIという発想が前面に出ていましたから。当時からAPIをユーザーへ提供していくことはとても重要だと認識していたので、そこを理解している点や、ベンチャーの中でも非常に動きが早い点などにひかれました。

 さらなる決め手は、ユーザーからの支持がきわめて高いことです。約13万人いるFeedBurnerのユーザーのうち、1万人近くが日本人です(2005年11月末日時点)。ローカライズされていないにもかかわらず、わざわざ英語のサイトでこれだけの人々が登録するくらい満足度が高いサービスで、かつ日本で悪い評判を聞いたことがありません。アーリーアダプターたちは個人のブログで使い方がわからない人たちのために解説していすし、それを見たときに質の高いサービスであると確信しました。

--すでに、日本でもある程度認知され、支持されているわけですね。

 ええ。それに、例えばFeedSterは検索がベースになっているのですが、私は米国のサービスを日本で始めるためにシステムなどさまざまな面でカスタマイズする必要があるならば、日本国内で処理するべきだと考えていました。以前の職場でウェブサイト構築やサイトを使った広告モデルの担当し、自社商品の情報を他メディアとシェアしてきた経験から「検索やデータベースは日本語で」という考えがあるのです。

 日本語は、どうしてもダブルバイトの問題を抱えています。それは文字コードのことだけでなく、情報にどうひも付けるか、どういうデータベースを構築するかということが重要なのです。その点を踏まえて、日本独自のRSSとブログ検索エンジンなどを手がけているJetrunテクノロジとも協力しています(関連記事)。

--では、FeedBurnerを国内で開始するのはいつからですか。

 日本でのFeedBurnerは、2005年11月末現在でローカライズの進捗が7割程度です。はじめはクローズドベータか、コアなアフィリエイターやRSSを利用しているブロガーに使ってもらいたいと考えておりまして、2006年の年明け早々にはスタートしたいと思っています。

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 一番考えなければならないのは、広告ビジネスとしてどう展開していくかということですね。日本ならではのサービスをどのように構築するかが課題でしょう。

 一般的なアフィリエイトもそうなのですが、すでに普通のウェブサイトを展開しているなどの理由で、RSSの配信自体ができないと考えている企業が多数存在しています。まずは、RSSフィードの配信システムや利用の啓蒙など、導入部分でもうまくカバーしたいですね。

--ライバルはどこだとお考えでしょう。

 市場自体が新しいので、どの企業もビジネスを模索中ではないでしょうか。逆にみなさんといつも話しているのは、ライバルと熾烈な競争を戦い抜いていくというよりは、プレイヤーが増えることでみんなでまずは市場全体を拡大させて盛り上げていこうということと、価格競争で市場をつぶしてしまうのは避けようということなどです。せっかくいいサービスを作っているのに、ユーザーが誰もいなかったり、使いにくかったりすれば本末転倒ですから。

--GMOアフィリエイトとしては、当面FeedBurnerへ力を入れていく予定ですか。

 方向は2つ見えています。1つは、RSSなどのフィードをうまく利用したネットワーク型のサービス、もう1つはJetrunテクノロジと一緒にフィードのデータをマーケティングにどう活かしていくかということです。Jetrunテクノロジは、独自の検索エンジンを有しているので、フィードサービスと検索の両面でいかにして展開するかが焦点となるでしょう。

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