GMOインターネットのグループ会社でファンド投資事業を手がけるGMO VenturePartnersが設立する「ブログビジネスファンド投資事業有限責任組合」の投資案件第1号が決まった。
このファンド(関連記事)は、ブログやRSSなどに代表されるWeb2.0関連の技術、サービスに関わるベンチャー企業のビジネスを支援するために設立され、募集予定金額の上限は50億円となっている。GMOグループのほかにも、外部からの資金を募り、まず12月末に最初の払い込みを受けてファンドを正式に設立する。そして、その後約5か月間は追加で募集する。
GMO VenturePartnersの取締役である村松竜氏は「10月27日にファンドの設立を発表して以来、ファンドへの出資や提携の話など、相当な引き合いがある」と話し、最初の払い込みではベンチャーキャピタルや事業会社、証券会社など5〜10社が出資する見込みだ。
そして、ブログビジネスファンドが投資する第1号案件となったのが、大阪を本拠地としてRSS検索エンジンやRSS広告システムなどを手がけるJetrunテクノロジだ。もともとは2001年に有限会社ノーテイクドットコムとして創業し、大学向けサーチエンジンの開発やインスタントメッセンジャーの基礎開発などを手がけた。
その後、2005年3月にJetrunテクノロジ株式会社へと組織変更し、8月に資本金を1000万円から2000万円に増資した。そして、10月1日には総額1億5000万円の第三者割り当て増資を実施し、全額をブログビジネスファンドが引き受けた。総額のおよそ半額が資本に組み入れられる。
Jetrunテクノロジは大きく3つの事業を展開している。まず、RSS検索では独自の検索エンジンを開発し、2000万件以上のRSSフィードを30〜40分間隔でインデックス化している。独自のタグを付与してRSS情報の整理したり収納したりできる技術を使い、ブログ作者やカテゴリ、ブログ名、日付(期間)などを指定して検索することも可能だ。これにより、いつ、誰が、どのような内容やタイトルの記事を書いたかを把握できる。RSS検索のテクノロジープレビューも公開されている。
また、ブログパーツとしてサイドバーなどに表示できる検索窓も提供している。これは、ブログ以外のサイトにも表示できる。最初に設定して専用のコードを生成し、自分のサイトにこのコードを書き込めば誰でも無料で利用できる。オプションであらかじめキーワードを指定(最大5つ)しておけば、そのキーワードと関連したブログの上位5つまでを、自動的に検索窓の下に表示させておくことが可能だ。このブログパーツのユーザーは、現在2万3000人いる。
もう1つの事業は、このRSS検索エンジンを用いたモバイルRSS検索エンジンの提供だ。2004年10月から開始している。モブログに対応していないブログもRSSキャッシュで閲覧でき、携帯版RSSリーダーの感覚で利用できる。
3つめは、独自開発したテキストマイニング(形態素解析)だ。この技術を利用して、コンテンツやキーワード連動型広告システムを展開している。GMOアフィリエイトが展開するRSS広告「GMO FeedMe!」のエンジン部分を手がけているのはこうした技術を有している同社だ。また、このFeedMe!を手がけたことが今回の増資引き受けのきっかけにもなっている。
また、このほかにもムラウチドットコムが運営するRSSフィードの統合ポータルサイト「にほんブログ村」も、こうしたJetrunテクノロジの技術が全面的に利用されている。
Jetrunテクノロジの代表取締役社長兼ソフトウェア・アーキテクトである野武浩氏は、「XMLサーチを基礎として独自開発した技術を核に展開し、2年後をめどに株式公開も考えている」と語った。ビジネスとしては受託開発などは行わずに、あくまでも技術やシステムをコンテンツ事業者などに提供し、そこで得られるレベニューをシェアする戦略にこだわっていく。FeedMe!やにほんブログ村での実績もこうしたモデルだ。
また、野武浩氏は「将来的には欧米に打って出て、XMLフィード検索サービスを提供する米Feedster(日本には三井物産と組んで進出予定)などに真っ向勝負を挑み、世界の中で勝ち抜きたい」と、世界進出を目論む。
目先では、アーティスト名をクリックするとさまざまな音楽情報がAJAXを利用して表示されるなど、音楽関連情報の配信などを開発している。
なお、GMOアフィリエイトはフィードの配信管理システムを手がける米FeedBurnerと業務提携して、2006年から本格的にフィード広告に取り組んでいく。そして、この事業に関してはJetrunテクノロジも全面的に協業する。
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