現在、一般ユーザーを対象にしたオンラインサービスの開発を急ぐMicrosoftだが、同社にとってきわめて重要な法人顧客に対してはより慎重なアプローチをとってきている。
同社はすでに、WindowsとOfficeをそれぞれ補完する2つのオンラインサービスを発表している。そしていま、同社の幹部らは、自社のサーバソフトウェアを補完するオンラインサービスについて、その詳細の一部を明らかにしようとしている。
MicrosoftのBob Muglia(サーバ/ツール担当シニアバイスプレジデント)によると、同社では新しいサーバ関連のオンラインサービスの開発が進んでいるという。Microsoftは「マルウェア対策サービスを行おうとしている。これはWindows Serverを補完することになる機能の一例だ」と同氏は述べ、さらに電子メールのスパムフィルタリングサービスも考えられると付け加えた。
Mugliaは、米国時間6日に行われたCNET News.comとのインタビューのなかで、これらの企業向けサービスの可能性を明らかにしたが、ただしその具体的な中味や提供の方法についてはさらに検討する必要があると語った。
「われわれは、これらのサービスがどういう形で提供されれば、一緒に出荷される製品を補完できるのかを検討している。われわれは企業向けのビジネスをしているが、そこで問題になるのは、どのようなサービスなら、われわれがこの市場に投入している製品を適切な形で補完できるかという点だ。既存のものにサービスを追加できる分野はかなり多いと思われる」(Muglia)
Mugliaによると、今後数カ月のうちに新たな詳細が明らかになるという。「おそらく、特定の法人向けサービスに関する方向性が明らかになるだろう。このような内容については2006年中に確実に明らかになると見ている。しかし、『Business Live』といった大胆な発表は期待しないで欲しい。われわれがそうしたことをするとは思わない」(Muglia)
Microsoftは、オンラインサービス関連の取り組みを加速させているが、これは同社会長のBill Gatesが10月に書いた社内メモを発端に始まったものである。このメモには、Googleなどのライバル各社が提供するオンラインサービスが「非常に大きな断絶」をもたらし、数年以内にはMicrosoftのビジネスに脅威を与えるものになる、と記されていた。Gatesのメモは、CTO(最高技術責任者)のRay Ozzieが作成した詳細なメモの内容を短くまとめたもので、Gatesが10年前に記した「Internet Tidal Wave」というメモと同じく、大きな方向転換を呼びかけるものだった。
Microsoftがソフトウェアサービスに大きな期待を寄せている背景には、デスクトップ製品の売上が伸び悩んでいるという事情がある。これらの製品は契約の更新ペースやアップグレードのペースが減速しているため、Microsoftではウェブを利用してソフトウェアをサービスとして提供することへの関心が高まっており、また新しい製品販売チャネルを開発する必要性も高まっていると、複数のアナリストが述べている。
Microsoftは9月に、組織を3つの事業部へと再編したが、この際にOzzieをサービス関連の最高責任者に任命していた。また同社は先月、この取り組みの最初の成果となる「Windows Live」および「Office Live」を発表した。Windows Liveでは、MSNがそれまで提供していた多くのサービスを組み合わせ、一般ユーザーに広告付きで提供している。また、Office Liveのほうは小規模企業向けに、無料と有料のサービスを組み合わせたものとなっている。
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