日刊工業新聞は2006年2月より、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)とブログを組み合わせた技術者向けのサイト「てくてくjp(TechTech.jp)」を開始する。11月21日に明らかにしたもので、利用料金は月額315円となる。
コンテンツのコンサルティングおよびプロデュースはジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)が、システム開発はホットリンクが担当した。日本工業新聞社とJDC信託は、てくてくjpを運営する新会社を共同で設立する方針だという。
日刊工業新聞社の千野氏は日本のものづくり力の低下に対して危機感をあらわにした |
製造業やIT関連、生命科学、医療などに関わる技術者や研究者を主なターゲットとする。異分野の人たちがコミュニケーションをすることで、新たな技術開発や技能継承が進むようにする。初年度1万5000人、2年後に採算ラインとなる5万人の有料会員獲得を目標とする。なお、サービス開始から3カ月間は無料で使えるようにし、利用料金は年額課金とする計画だ。
日刊工業新聞社代表取締役社長の千野俊猛氏は、「ものづくりの現場では技能をどう後世に継承し、現場力を維持するかが大きな課題になっている。また、『2007年問題』と呼ばれるように数年後には団塊の世代が一気に退職する」と警鐘を鳴らし、技術者に特化したネットコミュニティを構築することで業界の垣根を越えて人の交流や情報の伝達が生まれるようにしたいと話した。
「たとえば半導体業界はチップ製造事業者、製造機器メーカー、素材メーカーなどに分かれていて交流があまりない。これではナノテクなどの新技術に対応できない。ここを横断的に交流できる場が必要だ」(千野氏)
ブログにはあらかじめ大分類と中分類のカテゴリーが設定してあり、ユーザーがカテゴリーを選択して記事を投稿することで、技術データベースとして再利用できる。日刊工業新聞ではコミュニティに投稿された内容をもとに紙面に記事として掲載することも考えているという。
コミュニティを活性化するため、ジャンル別に30名程度の大学教授がコメンテーターとして参加する。コラムや研究成果に関する文章を掲載するほか、ユーザーからの質問を受け付ける。また、全国に約200名いる日刊工業新聞の記者や社長の千野氏もコメンテーターとして参加する。
このほか、ユーザーの利用度合いに応じてポイントを付与する計画もある。貯まったポイントに応じて日刊工業新聞社の技術図書や話題の製品などと交換できるようにする。
SNSはmixiやGREEをはじめとして複数のサービスが登場しているが、無料のものがほとんどだ。有料化することでユーザー数が限られる可能性があるが、「既存のSNSでは深い技術的な話はできない。技術に特化することで、差別化が図れる」(JDC信託代表取締役社長の土井宏文氏)と自信を見せた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス