AMD、富士通とのフラッシュメモリ合弁会社を分離へ--見通しは厳しく

Michael Kanellos(CNET News.com)2005年04月14日 19時30分

 Advanced Micro Devices(AMD)が、フラッシュメモリ製造子会社のSpansionを分離独立させようとしている。しかし、これに対しアナリストらは、もっと良いタイミングもあり得るとの見解を示している。

 Spansionは、AMDと富士通が立ち上げたジョイントベンチャーで、主にAMDのコントロール下に置かれている。AMDが、Spansionの株式公開(IPO)を通して6億ドルの資金調達を目指していることが、米国時間13日に米証券取引委員会(SEC)に提出された書類から明らかになった。

 しかし、Spansionの業績はここ数四半期の間、低迷している。Spansionは2四半期連続で赤字を計上しており、市場シェアも大幅に落ち込んだ。さらに、フラッシュメモリ市場におけるNAND型とNOR型の違いが曖昧になってきていることから、Samsungをはじめとするライバル各社との競争は、激しさを増している。

 「Spansionはこれまで以上に魅力的な製品を出さなくてはならない」と、Microprocessor Reportの編集長Kevin Krewellは述べている。

 またSpansionは、製品の発売延期にも見舞われている。同部門が予定通り第4四半期に256Mビットのフラッシュチップを発売していれば、6000万ドルの売上につながり、赤字を出すこともなかっただろうと、 SemicoのアナリストJim Handyは述べている。 同製品の発売を今四半期に延期したことで、AMDは前四半期に3000万ドルの赤字を計上する結果となった、とHandyは述べている。

 Spansionは、9カ月前にはAMDのなかでも注目を浴びる存在だった。2004年第2四半期の同社メモリ部門の売上は6億7300万ドルに達し、営業利益も前四半期の1400万ドルから4500万ドルへと3倍に増加した。これに対し、プロセッサ部門の売上は5億5400万ドルで、営業利益は前四半期から900万ドル減少していた。

 Spansionはまた、長年のライバルIntelを市場シェアで追い抜き、Intelが代々得意としていた携帯電話向けメモリ市場にも侵食しつつあった。AMDはこの時の決算発表で、プロセッサよりも先にフラッシュメモリ事業の話をしていた。

 しかし、Intelはこの時、以前の失策から既に立ち直りつつあった。同社は製品価格を引き下げ、急速に市場シェアを回復していった。2004年第3四半期には、Spansionの営業利益は1500万ドルまで減少し、第4四半期には3900万ドルの営業赤字を計上した。そして、2005年第1四半期には営業赤字が1億1000万ドルに拡大した。

 Intelはまた、Spansionの製造するMirrorBitメモリに対して、市場に疑念を抱かせようとしている。MirrorBitメモリは1つのセルに2つのビットを記録する仕組みになっており、あたかも2つのチップがあるように振る舞う。Intelはこれに似た機能を持つ「StrataFlash」という技術を保有している。

 しかし、両チップのアーキテクチャは大幅に異なる。StrataFlashは1つのセルで2つの情報を保持するのに対し、MirrorBitチップでは物理的に2つのセルが利用される。Intelの幹部は2月に、AMDがMirrorBitチップのサイズを縮小できずに困っており、そのため生産量を引き下げたと発言した。

 AMDはこれに対して猛烈に反論し、MirrorBitチップは実際にStrataFlashよりも製造コストが安いと述べた。しかし、MirrorBitチップの売上は、発売から2年が経過した今でも、Spansionの売上全体のごく一部(10〜14%程度)にしかなっていないと、Handyは指摘している。

 「Spansionは、Intelが苦痛を感じる程度までMirrorBitの価格を引き下げることができるはずだ。しかし、これまでそうしてこなかった」(Handy)

 さらに現時点では、半導体メーカーの株式公開に対する市場の反応が思わしくないと、Thomas Weisel PartnersのBill McLeodは、今週サンフランシスコで開かれたVentureOneカンファレンスでの講演のなかで述べていた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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