サンフランシスコ発--2004年にフラッシュメモリ市場における失地回復に成功したIntelは、今年新たな分野の征服を狙っている。
Intelは今年、家電製品向けのフラッシュメモリ生産に着手する。通常、家電製品向けのフラッシュメモリは、Intelが得意とする携帯電話向けのものに比べて値段が安い。同社はその後、市場が急拡大しているメモリカード向けフラッシュメモリの製造も開始する。Samsungや東芝は過去数年にわたって、この市場から大きな利益を得てきている。
IntelのCommunications Groupバイスプレジデント、Darin Billerbeckは米国時間2日、Intel Developer Forumでの講演と、その後に行われたCNET News.comのインタビューで次のように述べた。「(これまでの戦略は)さまざまな市場へと幅を広げる視点が欠けており、決して最善のものではなかった。Intelはもはや、携帯電話向けという特定の市場だけで活動するプレイヤーではない」
だが、(メモリ)カード市場に参入するためには、Intelの開発工程や製造ラインに新しい、異なるタイプのメモリを追加する必要がある。Intelは現在、NOR型フラッシュメモリだけを製造している。NOR型は信頼性が高く、ソフトウェアのコードを保存するのに利用されている。しかしNOR型には、NAND型に比べて記憶容量が少ないという短所もある。一方、Samsungや東芝が生産するNAND型メモリは、MP3ファイルや画像の保存用のメモリカードで使われている。
Billerbeckは、メモリカード市場向けにどのタイプのメモリを生産するかは明らかにしてなかった。しかし、特定の条件が揃わない限り、同市場向けにNOR型を売り込むつもりはないと同氏は述べた。
2005年にリリースされる製品のなかには「Sibley」があるが、この製品は1メモリセル当たりのデータ保存容量が2ビットで、従来のIntel製品よりもデータ処理速度が速い。Intelは、携帯電話市場の中でもこれまで対象としていなかったセグメントをSibleyで狙う構えだ。Sibleyは90ナノメートルプロセスで製造される。すでに、90ナノメートルプロセスで製造されているプロセッサは多いが、フラッシュメモリとなると、先進的なものでも110ナノメートルプロセスで製造されたものしかない。
Sibleyは、2005年後半に登場する予定で、当初は512Mビットのデータ記憶容量をもつものになる。この記憶容量は、NAND型にしては少ないが、NOR型としては多い。また同社は、2006年には1Gビットの記憶容量をもつバージョンを発表する予定だ。なお、メモリチップの容量はビットで表されるが、ただし携帯電話やメモリカードのような最終製品では単位がバイトとなる。
「携帯電話向けフラッシュ市場には、われわれが手をつけていない領域が50%残っている」(Billerbeck)
また同社は家電製品向けの「Sixmile」も発表する。同製品のデータ記憶容量は256Mビットから展開される。家電製品向けのフラッシュメモリ市場では、激しい戦いが繰り広げられることをBillerbeckも認めている。同市場では、すでに16Mビットの製品が83セントで売られている。これは、Intelのハイエンド向けフラッシュメモリチップの価格より、大幅に低い価格だ。それでも同社は家電分野での契約受注を目指す構えだ。
Billerbeckは、メモリカード向けフラッシュメモリを生産開始する時期については言及しなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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