米国政府が、中国Lenovo GroupによるIBMのPC事業買収を承認した。
対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investments in the United States:CFIUS)は、LenovoによるIBMのPC事業買収を全会一致で承認した。CFIUSは、複数の行政機関の代表者が参加する政府機関で、外国企業による米国企業の買収を審査しており、今回の買収についてもそれが国家の安全保障に及ぼす影響を検討していた。
IBMは、LenovoにPC事業を売却することを昨年12月に発表した。同社は同事業売却後にLenovoの株式の18.9%を保有する予定。この買収は予定通り第2四半期中に完了する見込みだと、IBMは9日に述べた。
IBMのStephen Ward(Personal Systems Divisionゼネラルマネージャ)は、「われわれは、満場一致で全委員の合意を得ることができた」と語った。Wardは新生LenovoのCEOに就任することが決まっている。
新生Lenovoは、自社の中国におけるビジネスと、ほかの国々におけるIBMの事業を統合し、DellやHewlett-Packardと競合できる巨大PCメーカーになろうとしている。Lenovoは17億5000万ドルに及ぶ今回の買収の結果、世界第3位のPCメーカーとなる。Lenovoはまた、現在は中国市場だけで販売されている同社のPCを、今後は世界市場に投入していくことを狙っている。
この買収は米連邦取引委員会(FTC)の認可は問題なく取り付けた。ところが1月に、CFIUSが詳しい調査を行うと発表した。CFIUSには、法務省や財務省を含む11の政府機関の代表者が参加している。
調査の中味は公にされていないが、Wardによれば、政府関係者らは主にLenovoの幹部と面談し、同社の事業計画を聞き出そうとしたという。
また、今年初めには、CFIUSにいっそう厳しい態度を取るよう求める声も上がっていた。たとえば、3名の有力下院議員が委員会に書簡を提出し、この買収について徹底的な調査を促したこともあった。
「上院議員や下院議員など、ほとんどあらゆる政府機関の代表者と面会してきたが、彼らはわれわれの戦略に真剣に耳を傾けた。今回は(米国の大手企業が外国の企業と合併するという)初めてのケースであり、人々も関心を高かったことから、こうした調査が行われたのだと考えている」とWardはCNET News.comに語った。
一方アナリストの中には、政府関係者は、コンピューティングテクノロジーにおける最先端技術の研究と、標準仕様のパーツやソフトウェアを主に使用するデスクトップ/ノートブックPCの製造では、仕事の性質が異なることを心得ておくべきだとする者もいる。
「超高速の大型コンピュータやその他の機密情報など、国外に流出してまずいものは全て別の部門に存在している。PCグループが扱っているのは、基本的に標準仕様に基づいたものばかりだ」と、IDCのアナリストRoger Kayは指摘している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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