新生LenovoがPC市場の現状に揺さぶりをかけたいと考えている。
中国最大のPCメーカーであるLenovo Groupは、対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United States:CFIUS)の調査対象となっているにもかかわらず、IBMのPC事業部を吸収合併する計画を先へと進めている。CFIUSは、連邦政府諸機関が参加する委員会で、委員長は財務長官が務めている。
Photo: Lenovo
Lenovoのデスクトップ機「Tian Jino A」モデル
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新生Lenovoは、すでに最高幹部チームを編成して統合計画を固めている。同社はまた、第2四半期に予定される買収完了直後に活動を開始する意向で、同社の設計したコンピュータを中国以外の市場に投入する方法についても調査に乗り出している。
「買収の完了が待ち遠しくてたまらない」と、IBMのPC事業部幹部、Fran O'Sullivanは言う。IBMでのキャリアが22年になる同氏は、Lenovo Internationalの最高業務責任者(COO)に就任する予定で、中国国外のすべての業務を担当することになっている。同氏は、PC市場創生期のIBMのイケイケ状態を振り返りながら、「あのころよりもワクワクしている」と語った。
新生Lenovoは、同社経営陣が言及したように、中国国内のビジネスとその他の国でのIBMのビジネスを統合し、DellやHewlett-Packard(HP)と世界的に競争できる巨大PCメーカーになることを狙っている。昨年12月に発表されたこの買収が完了すれば、LenovoはDellとHPに次ぐ世界第3位のPCメーカーとなる。
同社はまた、現在は中国国内でしか販売していないLenovo製PCを、海外市場にも投入する考えだ。これらのマシンにはいくつかの魅力的な特徴がある。Tian Jino Aデスクトップをはじめとする複数のマシンは、VoIP電話機能を内蔵するほか、IBMのような会社よりもむしろApple Computerが製造したかのような外観をしている。
しかし、たとえLenovoがすべてを完璧にこなしたとしても、同社にはまだ乗り越えなくてはならない壁が残る。PC市場で頂点に君臨するDell、そしてHPの両社が快く市場シェアを譲り渡す可能性は低い。さらに、両社がLenovoの買収によって生まれる不確実性を武器に、IBMの法人顧客の心をつかもうとする可能性もある、とアナリストらは述べている。同時に、Lenovoが新鮮なデザインのPCを販売し、またスケールメリットを生かして低価格の製品を出す可能性はあるものの、Lenovoという名前が中国以外の市場でどれほどブランド力を持つかは未知数である。
IDCのアナリストRoger Kayは、Lenovoの製品について「基本的に品質は他社と同等だが、購入する側はそのことを知らない」とし、さらに「同社の課題は、Lenovoの名前を認知してもらうことだ。また、IBMと取り引きがある大企業顧客を引き留めるという問題もある。これらの企業は、経営陣の交替によって取引に何らかの支障が出たり、IBMの誇る最高の技術がほかのグループから提供されることを懸念するかもしれない」と述べている。
IBMのO'Sullivanも、いまから買収完了時までに新生Lenovoがやらなくてはならない事柄がたくさん存在していることを認めている。しかし同氏は、「新生Lenovoでは現状に甘んじていては先がない」という新しいスローガンの下で、同社が迅速に行動するだろうと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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