Sun Microsystemsが、過去のストレージシステム開発の失敗をものともせず、信頼性とパフォーマンスの向上を目指す「Honeycomb」という新しいプロジェクトに取り組んでいる。
SunのMark Canepa(ストレージグループ担当エグゼクティブバイスプレジデント)によると、年内に発売されるこのHoneycomb技術は、検索などのデータ抽出作業を高速化することと、ディスクの障害をほとんど無視できるレベルにまで抑えることを目標にしているという。
Honeycombの検索関連で最も期待されるのが、メタデータという詳細情報だ。コンピュータはファイルを保存する際、そこにファイルの作成時間や修正時間などの基本的なデータをいくつか挿入する。だが、Sunをはじめとする複数のベンダーは、メタデータを一段と詳細な、つまり結果的に便利なものにしようと努力を重ねている。
この技術にとって最大の市場は医療分野で、ここではその緊急性、複雑性、そして厳しい規制から、特殊なデータを取り出す機能が高く評価される。たとえば、HoneycombのシニアプロダクトマネジャーMike Davisは、メタデータを使って検索結果を即座に選び出せれば、「特定の腫瘍にかかった女性を見つけ出し、その患者のX線写真を見ることができる」と述べている。
ディスク障害を考えると、現在人気のRAIDシステムの数を大きく上回る数百台以上のディスクに分散してデータを保存する作業が欠かせない。どちらのアプローチも、その背景にあるのはリスクの分散という考え方だ。
2004年末、SunはHoneycombチームをSun Labsから社内の製品グループへと移動させた。Honeycomb技術は、新しいスタンドアロンシステムおよび既存のミッドレンジモデルの強化機能として市場に投入されることになる、とCanepaは述べている。
Sunとストレージ
サーバのハードウェアおよびソフトウェアを主力製品とするSunは、EMCなどの専門ベンダーとは異なる視点でストレージを捉えている。同社は、自分たちで接続しなくてはならない個別のコンポーネントよりも、統合システムを購入した方がよい、と何年も前から言い続けている。
しかし同社は、ストレージに関するこのビジョンの売り込みに苦戦してきた。同社CEOのScott McNealyは1年前、ストレージ搭載率(サーバの売上高に占めるストレージの売上高の割合)は90〜100%にすべきだ、と語っていた。だが、この数字は2003年第4四半期から2004年にかけて24%から22%へと低下している。
Sunは、以前からストレージ市場への進出を試みてきたが、A7000の失敗など、さまざまな問題にぶつかった。同社はこれに対し、Hitachi Data Systemsとハイエンドストレージシステムの販売契約を交わし、ミッドレンジシステムではPirus Networksを買収し、またDot Hillのローエンドシステムの再販も始めた。さらに、Sunは2004年にストレージ専門ベンダーのProcom Technologiesから技術のライセンス供与を受け、同社のエンジニアリングサービス部門を買収した。
Data Mobility GroupのアナリストJohn Websterは、Sunはストレージハードウェアに関して「これまでになく好調だ」と述べている。
また、特にリアルタイムで取り出されるデータの処理に関心を持つ顧客には、メタデータツールはかなり便利な追加機能になる、とWebsterは付け加えた。小売業者などは、商品の売り上げをトラッキングする無線認識システムが記録したデータストリームと、店内での顧客の行動を録画するビデオストリームとをリンクさせたいと考えるかもしれない。情報が収集された時間を記録するメタデータによってインデックス化された、これら2つのデータストリームを関連づけることで、小売業者は各種の顧客特性を知ることができるだろう。
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