Legato、Documentum、VMWareなど、数々のソフトウェア企業の買収を果たしたEMC。VMWareは同社の子会社として事業を続けているが、EMCは今年6月にLegatoとDocumentumをひとつのグループにまとめ、ソフトウェア部門を新たに設置している。同部門の責任者となったのは、上席副社長のマーク・ルイス氏。同氏は22日、都内にて記者会見を行い、EMCのソフトウェア戦略について語った。
EMCの推進するILM(情報ライフサイクルマネジメント)において、「重要となるのは、無停止運用とストレージ・アウェア・コンテンツだ」とルイス氏はいう。このそれぞれについて、同氏はEMCが今後提供する予定の技術を説明した。
EMC ソフトウェアグループ上席副社長のマーク・ルイス氏 |
無停止運用を実現するために、「ダイナミックボリューム移行を実現するソフトウェアを提供する」とルイス氏。これにより、アプリケーションのダウンタイムを解消し、容量の割り当てとプロビジョニングを一元化できるという。また、マルチベンダや複数階層のアレイにまたがるデータの移行も柔軟に行える。同技術は、「EMCストレージルータ」という、SANベースのコントローラソフトウェアにより実現することになるという。
ストレージ・アウェア・コンテンツとは、情報に対するビジネス要件とストレージ環境の機能のギャップを結びつけるもので、データの価値や法規制の変化などでコンテンツの要件が変化する際に、ストレージ環境が適切に対応するというもの。コンテンツが生成されると、それに付随するメタデータも同時に生成され、コンテンツの体系化や管理のために使用されているが、「近い将来、このメタデータを利用してポリシーを設定し、ビジネスニーズに基づくコンテンツ管理とストレージリソースの最適化を行うことが可能になる」(ルイス氏)という。これは、Documentumの技術を活用した製品として発表される予定だ。
EMCのソフトウェアファミリーには、LegatoとDocumentumのソフトウェア以外に、EMCが従来より提供していたストレージ管理のソフトウェアも存在する。同社は同日、ストレージ管理ソフトウェアのEMC ControlCenterの新バージョンとなる5.2も同時に発表した。
バージョン5.2では、接続性とオープン性が向上され、自動化機能や拡張性が強化された。具体的には、ストレージレポート機能が拡張されたほか、エンタープライズレベルのパフォーマンス管理、SANリレーション情報の収集と表示、管理作業コストの削減、ストレージの効率的な再割り当て、既存アプリケーションとARM(Automated Resource Manger)の統合の容易化、統合アーキテクチャによる運用コストの削減などが実現されたという。
ルイス氏は、「2年前のEMCは、売上の80〜90%がハードウェアによるものだったが、現在では売上の半分以上がソフトウェアとサービスによるものだ」と述べ、ソフトウェア部門の重要性を語る。また、現在同社の売上の約6割は北米市場からだというが、今後はOEMやパートナービジネスにも注力し、インターナショナルでの売上を数年間のうちに50%にまで成長させるとルイス氏は述べた。
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