Sun Microsystemsは、開発から1年あまりがたつJavaサーバソフトウェアのスイート製品を、小型のコンポーネントに分解しようとしている。同社はこれにより、企業がこのソフトウェアを簡単に試せるようにしたいと考えている。
SunのJava Enterprise System(JES)は数多くのタスクを処理するサーバソフトウェア・コンポーネントを集めたもので、具体的にはJavaベースのウェブアプリケーションの稼働やネットワークアクセスの認証、メッセージングの処理を行う。Sunはこのスイート製品を発表した際、サブスクリプション方式の課金モデルを導入し、企業が従業員1人あたりの年間料金を支払ってこれを利用できるようにした。
JESや新たな課金モデル、さらに更新された製品ラインや開発者との関係構築は、Javaサーバソフトウェアからの売上増加をねらう同社の試みの土台となっている。Javaサーバソフトの市場はIBMとBEA Systemsが支配しているが、SunやOracleからも競合製品が出されているほか、JBossや他のオープンソース製品も登場していることから、競争が激化している。
Sunがこのサーバソフトウェア市場の戦いに投入する最新の製品は、Java Enterprise Systemの完全版をベースに作られた5つのパッケージで、同社は新たな課金モデルとともに、これらの製品を米国時間1日に発表すると見られている。
これらのパッケージや新たな課金モデルは、Sunにとって企業顧客獲得の足掛かりとなる。特に課金モデルについては、従来の完全版は従業員1人あたり年間140ドルとなっていたが、一部の機能を組み合わせた新製品は1人あたり年間50ドルで利用できる。
「これらのバンドル製品は、Java Enterprise Systemへの新しい入り口にすぎない」とSunのJoe Keller(Java Webサービスおよび開発ツール・マーケティング担当バイスプレジデント)は述べている。
新たに発表される「Java Application Platform」スイートは、Webサービスアプリケーションの開発を検討している大企業をターゲットにした製品だ。同スイートには、アプリケーションサーバのエンタープライズ版や、高可用性を確保するためのソフトウェア、モバイル機器から使えるポータルを構築するためのソフトウェア、ソフトウェア・プロビジョニング用のツール類、SunのJava開発ツール、Java Studio Enterprise、Java Studio Creatorが含まれる。
「Java System Web Infrastructure」という別の新製品は、中規模の企業や大企業の部門での採用をねらって設計されたものだ。これには、アプリケーションサーバの簡易版、ネットワークディレクトリサーバ、各種開発ツール、そのほかのウェブサーバツール類が含まれると、Kellerは述べた。
そのほか3つの製品はそれぞれ、通信やメッセージングをサポートするもの、高可用性を実現するもの、ID管理などのセキュリティ確保を目的とするものだ。
これら5つの新スイート製品は従業員1人あたり年間50ドルで提供される。Java Enterprise Systemスイートの完全版は、これまで従業員1人あたり100ドルで提供されてきたが、今回140ドルに変更される。これに関して、Kellerは、完全版には各種のJava開発ツールや、携帯機器用ソフトウェア、N1グリッドサービスのプロビジョニングシステムなど、数多くの機能が追加されている点を強調した。
Sunは、JES関連の品揃えを拡大することで、同システムが誕生以来抱えていた課題の1つを解決しようとしている。JES導入の妨げになっているのは、従業員1人あたりに課金するライセンス体系と、必要でないソフトウェアまでが含まれていることの2点だと述べるアナリストは多い。D.H. BrownアナリストのPierre Frickeは、企業が特定の用途に使うためにJESを利用したいと考える可能性があると指摘する。
Frickeによると、Sunにとって新しいスイート製品を出す意味はあるものの、同社は市場で厳しい戦いを迫られるという。同氏は、Sunに統合用ソフトウェアが欠けていると指摘する。同社と競合するIBMやBEAにはそうした製品があり、またJBossのアプリケーションサーバもソフトウェアパートナー数社が利用するほか、開発者の間でも人気が高い。
「SunはJESでこの市場に再参入した。Sunは価格の点でJBossに対抗できる製品を提供しているものの、JBossが形成しているような開発者の生態系を持つには至っていない」(Fricke)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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