「SOAはシステム統合の“魔弾”ではない」--BEAコンサルタントが語るSOA導入の留意点

藤本京子(CNET Japan編集部)2004年11月15日 19時09分
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 米BEA SystemsにてSOAベースのシステムコンサルティングを行っているシニアプリンシパルコンサルタントのアジャイ・アラワリ氏が来日した。同氏が日本の顧客を訪問して感じたことは、「みなSOAについて非常に興味を示しており、導入にあたってどのような利点があるのか、またそのノウハウについて高い関心を持っている。すぐにでも導入したいという顧客もいるほどだ」と述べる。アラワリ氏に、SOAが注目を集めている背景や、導入にあたっての留意点などを聞いた。

BEA Systems シニアプリンシパルコンサルタント アジャイ・アラワリ氏

 アラワリ氏は、現状の企業システムについて、「これまでのテクノロジーやソリューションは、各部署のニーズに合わせたものや、プロジェクトごとに用意されていたもので、企業全体としての視点から見たものではなかった。その結果、企業内には余計なシステムや重複したテクノロジーが山積みとなってしまった」と述べる。このような無駄な部分を何とかするために、SOAの採用にあたっては、まず現場から離れて全体像が見える位置に立ち、ビジネス的な視点からすべてを見直すべきだという。

 SOAではひとつひとつの機能やシステムを「サービス」とみなす。各サービスが他のサービスとどう連携しているのか、また連携する必要があるのかを定義し、現状のシステム資産を最大限に生かしつつ、システム変更の影響を最低限に抑える方法を考えたうえで、再利用しやすい新たなシステムを実現するのだ。「通常これまでの企業システムは、変化が起こることを前提に構築されていなかった。しかし、ビジネスは常に変化し続けるものだ。このようなビジネスの変化に合わせ、ITも柔軟に対応できるものでなくてはならない」(アラワリ氏)

 SOAはビジネス戦略とテクノロジーが入り交じったもので、導入の際には、テクノロジーのことよりもまずビジネスについて考えなくてはならないとアラワリ氏はいう。同氏はSOAの導入にあたって、企業内で考えなくてはならないことが6点あるとしている。それは、

  1. SOAの要となる企業全体の戦略
  2. 組織の成り立ちとそれぞれの役目、能力、担当分野など
  3. 管理が容易で変更の影響が最小限に抑えられる柔軟なアーキテクチャ
  4. 各プロジェクトに直結したシステムの洗い出し
  5. サービスの構成要素とそのサービスがカバーする領域
  6. コストとROI(投資回収率)

 である。

 BEAでは、これらを考慮する際のコンサルティングサービスを行っている。SOAの適用における効果の試算や実装に向けたプロジェクト計画を作成するサービス(Business Value Assessment Services for SOA)、大規模システムをSOA化するため、ビジネス戦略も含めて長期・常駐型で支援するサービス(SOA Enterprise Transformation)、顧客がSOA向けのITガバナンスを策定できるように支援するサービス(SOA Governance Office)、プロジェクト開始前にプロトタイプを作成することにより、技術的リスクポイントを検証するサービス(Proof of Concept for SOA)などだ。

 日本ではまだSOAの導入事例はないといわれているが、「コンサルティングレベルではすでにはじまっている」とアラワリ氏はいう。海外ではすでに実績があり、11月初旬に発表されたシカゴ市によるSOAの導入などを含め、すでにSOAの恩恵を受けている企業や団体があるというが、導入にあたっての問題点などはないのだろうか。アラワリ氏は、導入時にまずサービスの粒度について考えることが重要だと述べ、さらに導入後は「導入が済んだから終わったというわけではない」と強調する。SOAは戦略に基づいて継続して適用されるものだとアラワリ氏はいう。

 SOAの成功は、その方法を正しく理解し、正しく適用できるかどうかにかかっているとアラワリ氏。「JavaやEJBなどのテクノロジーが登場した際も、みなこれらの恩恵を受けようと技術に飛びついたが必ずしもうまくいったわけではなかった。それは技術が悪いのではなく、使い方が悪かったのだ。例えばそこに金槌があっても、上手な使い方を知らない人が使っては何も作れないのと同じこと。SOAはビジネスとITを組み合わせる良い手段ではあるが、SOA自体が百発百中の魔弾なわけではないということだ。BEAでは、SOA実現のためのツールや製品を提供するだけでなく、専門家による知識で正しくSOAを実装するための支援を行う。顧客を成功に導くには、ツールだけ与えてもどうしようもないからだ」(アラワリ氏)

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