世界最大手のネットワーク機器メーカーであるCisco Systemsは米国時間9日に四半期決算を発表したが、その内容はアナリストらの期待に辛うじて沿うものだった。また同社は、IPルータ事業の売上が引き続き減少していることも明らかにした。
Ciscoの2005年度第1四半期の利益は前年同期に比べて29%増加した。同社は2004年10月30日締めの同四半期に14億ドル(1株当たり21セント)の利益を上げた。1株当たり利益が21セントという結果はアナリストらの予想通りだった。なお前年同期の利益は11億ドル(1株当たり15セント)だった。
CiscoのCEO(最高経営責任者)John Chambersは投資家およびアナリストらとの電話会議のなかで、同社が長年手掛けてきたEthernetスイッチ事業とIPルータ事業の売上が、同四半期に減少したと述べた。Chambersは具体的な数字は述べなかったが、同社の事情に詳しい金融アナリストは、ルータ事業の売上は前四半期から12%減少したと見ている。
Chambersはルータ事業の売上減少について、一般に第1四半期は季節的に売上が伸びないことを原因に挙げた。しかし、ルータ市場で不振にあえぐCiscoとは対照的に、同社の主要競合相手であるJuniper Networksは先月、同四半期の同社製ルータに対する需要および売上は共に好調だったと述べている。
「Juniperは同四半期に好業績を上げている。したがって、(同四半期におけるルータの売上不振の)原因を季節的要因に求めるのは無理がある」と語るのはPacific Growth Equitiesのアナリスト、Erik Suppigerだ。同氏はさらに「実は、Ciscoのルータの売上はこのところずっと不振が続いていた。過去数四半期の同社の売上増加率は、非常に不安定だった」と説明した。
ChambersはJuniperとの厳しい競争については特に言及しなかったが、今後数年間に、海外企業、とりわけ中国企業との競争の熾烈化が予想されると語った。同社は過去に、競合製品をはるかに下回る価格で販売できる新たな競合企業として、Huawei Technologiesなどの中国企業の名を挙げていた。
Chambersによると、Ciscoは今後、中国企業だけでなく世界中の企業との競争になると予想しているという。同社はすでに、欧州、アフリカ、南米の企業との競争を始めている。
Ciscoのルータ事業は、現在、新製品への移行の最中であるため、特に不安定な状態にある。Ciscoは過去半年間に、ハイエンドとローエンド向けの新製品を数多く発表している。
「ルータ事業の不振はCiscoにとって良い兆候とは言えない」と語るのは、CIBCのアナリスト、Stephen Kamman。同氏はさらに、「しかし、その不振に同社の事業自体の問題がどの程度寄与しているのか、また、その他のマクロ経済要因や製品サイクルがどの程度関わっているのかを明らかにするのは難しい」と付け加えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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