管理者からスタッフに向けられたメッセージは、工場のいたるところに貼り出されている。例えば、壁に貼られたポスターには「Sort, Set, Shine, Standardize and Sustain(整理、整頓、清掃、作業の標準化、そしてこれらの習慣化)」など5語の教訓が書かれている。また、1600人の従業員を元気づけるために、「Smile, Surprise Someone(笑顔で、誰かを驚かせよう)」と書かれたポスターも掲示されており、この言葉が書かれた絞り染めのTシャツまである。入り口にある「Weapons are Not Permitted on Dell Property(Dellの施設内への凶器の持込は禁止)」などの安全規則もいたるところに掲示されている。
厳密にいうと、この工場はDell物語の発祥の地ではない。この工場は、同じくラウンドロックにあったそれまでの施設では対応できなくなったため、4年前に新しく建設されたものだ。Lawtonによると、街の反対側にある古い工場は現在空っぽだという。
それでもこの工場は、Dellの様々な構想を具現化したものであり、Dellがライバルよりもはるかに速い成長を遂げている理由もここにある。
Dellの特徴の1つとして、数字好きという点が挙げられる。Dellでは全てのことが数字で表される。
たとえば同社は先ごろ、作業効率を向上させるため、PCを組み立てる作業台のデザインを見直した。見直しの結果、作業者が部品を取るのに手を伸ばす距離が50%、体の回転角度が80%減少し、PCの組み立てにかかる時間が20秒短縮されたとLawtonは説明する。このことが、コスト削減や事故防止につながっている。
工場の稼働スケジュールも、データをみて微調整されている。あるグループは、平日週4日勤務で、1日の労働時間は10時間と決められている。別のグループは、週末3日勤務で、1日の労働時間は12時間と規定されている。週末勤務のグループでも、平日40時間分の給料が支払われる。この方が、週5日間のシフトを組むよりも効率がよいと分かったからだ。これ以外に今回の工場見学で知ったことは、注文の半分が、ウェブサイトで申し込まれているという事実だ。同社は現在、世界80カ国27言語でウェブサイトを運営している。
数字に執着する文化を同社に根付かせたのは、経営陣だ。他のPCメーカーと異なり、Dellにはエンジニアや営業部門出身の幹部が少ない。その代わり、外部のコンサルティング会社出身の幹部が多い。最高経営責任者(CEO)のKevin Rollinsのほか、欧州のコンシューマ事業担当最高執行責任者(COO)Paul Bellと米国のコンシューマ事業担当COO、John HamlinもBain & Co.出身だ。最高マーケティング責任者(CMO)のMike Georgeは、McKinsey & Co.からDellに入社している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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