NECは10月28日、2004年度の連結中間決算を発表した。売上高、営業利益ともに前年同期を上回ったものの、国内の第2世代携帯電話(2G)の販売などが不調で、期初計画値には届かなかった。
中間期の売上高は前年同期比0.9%増の2兆3031億円、営業利益は同2.3%増の593億円、税引前利益は同7.6%減の718億円、当期純利益は同62.6%増の251億円となった。
分野別の業績を見ると、ネットワークソリューション事業の業績は携帯電話の基地局などを扱うモバイルインフラ事業が好調で、売上高は前年同期比5.6%増の8998億円となった。NTTドコモのパケット定額制サービス導入によって、インフラ増強のための「パケット定額制特需」が起きたという。しかし、携帯端末事業が足を引っ張り、営業利益は同27.2%減の182億円となっている。
NEC取締役常務の中村勉氏 |
携帯端末事業は、国内の2G出荷量が予想を大きく下回ったことや欧州向け3G端末の開発が遅れていることなどから、業績が低迷した。国内出荷台数は前年同期に比べて40%減少したという。「2G端末を購入するユーザーも多いと見ていたが、他社製の2G端末の供給が多いこともあってキャリア側に在庫がたまり、NECへの発注量が少なかった」(NEC取締役常務の中村勉氏)。国内の3G端末についても同社の予想より市場の立ち上がりが遅かったといい、出荷台数は予定より100万台以上少なかったとした。
欧州向け3G端末については、チップセットやソフトウェアの安定化が進まず、端末の競争力が低かったという。具体的には、GSM/GPRSとW-CDMAの切り替え速度や消費電力の面で他社製品に遅れをとったとのことだ。このため開発投資や販売対策費用がかさみ、業績を悪化させる要因となった。
下期は2005年度の業績回復に向けた施策に力を注ぐ。海外向け3G端末は他社製のプラットフォームを採用することも検討するという。ほかにもLinuxプラットフォームの開発を進めるほか、国内の法人向けに固定・移動体通信を融合した無線LAN対応の携帯電話などを提供していくとしている。当初前年同期比20%増としていた年間の出荷予想台数は下方修正し、同5%減の1470万台程度になると見ている。
ITソリューション事業は売上高が前年同期比1.4%増の9627億円、営業利益は同0.9%増の342億円となった。DVD市場の競争が激化していること、コンシューマ向けPC市場の低迷が続いていることなどから、通年での営業利益は期初計画値を100億円ほど下回ると予測する。
エレクトロンデバイス事業は売上高が前年同期比0.1%増の4613億円、営業利益は同56.0%増の337億円となった。日本航空電子工業の売却に伴う売上減を除いた実質値は約5%増の増収だったという。デジタルAV機器向けシステムLSIやLCDドライバICの売上が好調だった。
今回の決算を受け、NECでは通年の業績予想を下方修正した。売上高は当初予想より400億円減の4兆9000億円、税引前利益は同450億円減の1350億円、当期純利益は同100億円減の600億円としている。
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