NECの2003年度連結決算は増収増益となり、2000年以来の黒字化を達成した。この好業績を支えた要因のひとつがモバイルターミナル(携帯電話端末)事業だ。同社が4月28日に行った決算発表の場では、2003年度のモバイルターミナル事業の概要と2004年度の見通しが明らかにされた。
2003年度のモバイルターミナル事業の売上高は前年比66%増の7297億円。携帯電話の出荷台数を見ても、前年比64%増の1550万台と大幅な伸びを示した。これは同社が力を入れている海外向けの製品が大幅に伸びたほか、国内も順調な成長を示したため。
海外の出荷台数は前年比5倍となり、全出荷台数の30%弱を占めるまでに成長した。国内の出荷台数も前年に比べ30%以上増加したという。国内ではカメラ付端末の投入で第2.5世代携帯電話(2.5G)と呼ばれるPDC端末が伸びたほか、NTTドコモのFOMA900iシリーズの投入によって、国内の第3世代携帯電話3G端末も成長した。2.5Gと3Gの比率は海外だけを見るとほぼ半々といい、日本も含めた世界全体では約30%が3Gという。
2004年度は国内の携帯電話市場の伸びが落ちてきていることから、海外市場での成長を目指す方針だ。国内出荷台数は前年比10%減、海外出荷台数は同2倍と見込む。全体では同20%増の成長を目指す。
海外ではハイエンド機に注力していく方針で、iモードや3Gなどの新サービスをオペレーターと連携して進めていくという。「海外出荷の半分は3Gになる」(金杉氏)。なかでも重点をおくのが前年度に本格参入した中国市場だ。NECでは2月に発表した薄型のカード型携帯電話「N900」のようなハイエンド機で特徴ある製品を拡充していく。中国での出荷台数は前年比2倍の200万台と予測している。
国内市場は3Gへのシフトが進むとみる。「PDCでのシェアやブランド力を生かし、3Gでも国内市場を制覇したい」(金杉氏)。課題は3G端末の収益性だ。2Gに比べて高機能化が進む3G端末では、どうしても開発コストがかさんでしまう。NECでは開発の効率化や集中購買の強化による原価低減を進めることで、PDCと同程度の収益率を目指すとしている。
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