今年8月に大画面テレビ用チップのリリースを来年まで延期していたIntelが、ついに計画そのものを中止することになった。
Intelは、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)技術の開発を中止した。発売後に見込まれる売上に対して、製品開発に必要な研究開発コストがかかりすぎるため、と同社は理由を説明している。
「ROI(投資に対して得られる利益)の問題だ」(同社広報担当のShannon Love)
LCOSチップは大画面にビデオや静止画を映し出すためのもので、今年1月のConsumer Electronics Showで発表された。この計画を発表した同社社長のPaul Otelliniは、このチップによって、今年の年末までには各テレビメーカーから1800ドル以下の大画面プロジェクションテレビが登場することになる、と述べていた。また一部の中国メーカーは、この技術をベースにしたテレビを発売することに合意していた。
Intelでは今年良くないことが続いている。同社は複数の製品の延期や中止を余儀なくされた。同社は2000年にも同様の経験をしている。
IntelがLCOSの開発をあきらめたことで、Texas Instrumentsなどのライバル各社が喜んでいるのは間違いない。Texas InstrumentsはDigital Light Processorという競合チップを、Samsungなどのメーカー向けに製造している。また、Samsungの幹部や一部のアナリストらは、発表当初からIntelの計画に対して疑問を呈していた。
LCOSはかなり複雑で難しい技術だ。Intelは8月に、最初のチップのリリースを延期すると発表していた。また、同社よりも規模の小さなBrillian Technologiesという競合企業でも、LCOSを使ったテレビの発売を延期している。この他にも、これまでに複数の企業がLCOS技術の製品化に失敗している。
プロジェクションテレビ自体もサイズの問題にぶつかりがちだ。このタイプのテレビは、プラズマや液晶(LCD)を採用するテレビよりも、はるかに大きくかさばる。アジアやヨーロッパでは概して家の面積が小さいことから、こうした地域での販売をあきらめているメーカーもある。北米の大きな家でない限り、こうした大きなテレビを置く余裕はないのだ。
だが、それでもLCOSチップに力を入れている企業もある。今月幕張で開催されたCEATECでは、ビクターとソニーがそれぞれワイドスクリーンのLCOS搭載テレビを披露していた。ビクターのテレビはすでに発売になっており、またソニーの製品も来年1月には米国の店頭に並ぶことになっている(ただし、両方とも数千ドルもする)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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