ラスベガス発--米Intelは、高価なテレビに組み込む重要なコンポーネントを開発しようとしている。だが、アナリストらは、Intelがこの分野で厳しい戦いを迫られることになるだろうと述べている。
Intelは6日(米国時間)、ラスベガスで開催中のConsumer Electronics SHow(CES)で、35インチ以上の大画面を持つプロジェクションテレビ用の画像を生成する複雑な半導体、「Cayley」の開発を進めると正式発表した。このチップは今年後半にリリースになると見られる。
プロジェクションテレビ用のディスプレイ市場は、いまのところ比較的小さいものの、2007年には2100万〜4500万台に達する可能性があるとする推定が、さまざまな団体から出されている。こうしたタイプのディスプレイ用チップは、現在は1個150〜300ドル程度の価格で販売されているため、Intelにとってこの計画は、魅力的な新ビジネスとなる可能性がある。米iSuppli/Stanford Resourcesによれば、この市場はすでに5億ドル規模に達しているという。また米Dell Computerや米Hewlett-Packard(HP)など従来からIntelと関係の深かった企業が、最近テレビ分野に進出し始めたところでもある。
Intel社長のPaul Otelliniは、「このチップが、大画面テレビの価格や生産コストを変えてしまうだろう」と講演のなかで述べ、来年末までには、Cayleyチップを使ったテレビが1800ドル未満の価格で売り出される、と付け加えた。
CayleyがベースとしているLCOS(liquid crystal on silicon)技術は、5年ほど前から存在している。しかし、これまでIntelほど大規模な生産技術を持つ企業が、この開発に挑戦したことはなかった。半導体最大手のIntelが開発に乗り出したことで、今後LCOS技術の普及が一気に進む可能性がある。
「Intelが参入する影響は、非常に大きいものだろう。LCOSは今まで長い間大量生産できなかった・・・ここで本当に重要なのは、供給側でのコストと信頼性だ」と米IDCのアナリスト、Bob O'Donnellは述べている。
一方、米Texas Instrumentsなどもすでに、大画面プロジェクションテレビ用チップを生産していることから、各社の間で、価格競争の激化が生じ、また設計上の優位性を得ようとする圧力も一段と高まる可能性がある。どれほど強力な企業でも、新たな市場へ参入したからといって、必ずしもその市場を支配できるわけではないというのは、通信関連製品の市場で苦戦を強いられているIntelが、いちばんよくわかっている点である。
「Intelは通信分野への参入時に、この市場での競争はとても激しいと考えていた。だが、いまのテレビ市場での競争は、それよりもさらに厳しいものだ」と、米Microprocessor Reportの主任編集者、Peter Glaskowskyは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス