米映画会社とレコード会社は8日(米国時間)、米最高裁に対し、ファイル交換ソフトの合法性を認め論議を呼んだ一連の下級裁判決を覆すよう要請した。
米娯楽業界は過去数年に渡り、KazaaやMorpheusといったピア・ツー・ピア(PtoP)ネットワーク上で横行している著作物の違法交換を抑止しようと努めてきた。それだけに、PtoPソフトの合法性を認めた一連の判決は同業界にとって大きな痛手となった。
米国映画協会(MPAA)と全米レコード協会(RIAA)は、共同で最高裁に提出した申立書の中で、下級裁判決の有効性が維持されれば著作権で保護された作品の価値がひどく損なわれると主張している。
両協会は最高裁への申立書の中で、「今回の裁判は、これまで最高裁まで持ち込まれた著作権侵害裁判の中で最も重要な裁判の1つである」とした上で、「最高裁がどのような判決を下すかによって、デジタル時代における著作権の価値がおおかた決する」と述べている。
娯楽企業はPtoPソフトメーカーに対し、ネットワーク上で蔓延する、ユーザーによる著作権侵害行為の法的責任を負わせようと努力してきた。その中で同訴訟は、ソフトウェアメーカーの行為のどこまでを合法とするかを明確にすることに貢献してきた。
過去にレコード会社はNapsterに対し、同社のシステムのユーザーによる著作権侵害行為の責任を同社に問う訴訟を起こし、見事勝訴判決を勝ち取った。その結果、Napsterは著作権で保護された楽曲をフィルタで除外せよ、との裁判所命令の圧力に屈し、閉鎖に追い込まれた。しかし、ロサンゼルス連邦地裁は、GroksterとStreamCast Networksはファイル交換を可能にするソフトを配布しているに過ぎず、それ以上の干渉を一切行なっていないことから、Napsterと同列に扱うべきではない、との判決を下した。
Stephen Wilson連邦地裁判事は2003年の判決の中で、「被告(のPtoPソフトメーカー)はソフトの配布/サポートを行い、ユーザーはそれらのソフトを合法、違法のどちらの目的にも使用することができ、実際にその両方の目的で使用している」とした上で、「GroksterとStreamCastは家庭用ビデオデッキやコピー機を販売する企業と大差ない。それらの機器は著作権侵害行為に利用することも可能であり、実際その目的に使用されている」と指摘した。
第9巡回区控訴裁判所は今年8月、このWilson判事の判決を支持した。
娯楽業界側の弁護団は訴訟事件摘要書の中で、これは第7巡回区控訴裁判所が別のファイル交換企業のAimsterに対して下した判決と矛盾すると主張した。同控訴裁は、Aimsterはユーザーの行為について法的責任を負うとし、同社にネットワークを閉鎖するよう命じた。
娯楽企業は摘要書の中で、ファイル交換ソフト企業には、蔓延する違法行為への対策に貢献する製品を設計するよう義務付けるべきだ、と主張している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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