Mitch Glazierはおそらくこれまでで最も影響力の大きいロビイストの1人である。
Glazier(38歳)の仕事は、全米レコード協会(RIAA)の要望に連邦議会の目を向けさせることだ。最近では、たくさんの法案を支持するよう議員に要求してまわった。なかには、違法なPtoPユーザーに刑事罰を要求する内容の法案も含まれている。RIAAでは、これらの法案が可決されれば、アメリカ市民がPtoPネットワークで音楽ファイルを交換するのを踏み止まってくれると期待している。
同氏は、2000年2月にRIAAの仕事に就く前まで、今まさに自分がRIAAの政府担当シニアバイスプレジデントとしてロビー活動の対象としている委員会の政府側補佐官を務めていた。同氏は、Vanderbilt Universityのロースクールを卒業し、シカゴの弁護士事務所Neal, Gerber & Eisenbergでキャリアを積んだ経験をもつ。
CNET News.comは(8月下旬に)同氏にインタビューを行い、共和党全国大会やiPodのような端末が違法扱いされる可能性、オープンソース活動家との難しい関係、新しく提出された法案などについて話を聞いた。
--RIAAではこれまで数千人のユーザーを訴えてきたわけですが、後悔はしていまんか。
いいえ。狙いどおりの効果が得られています。われわれは、PtoPファイル交換ソフトのユーザーたちに、自分たちの行っている行為は、実体はなくとも窃盗行為であり大きな損害をもたらしているのだということをどうしても分かってもらう必要がありました。それには、訴訟という手段しかありませんでした。
--Slashdotなどのオープンソース系またはフリーソフト系のサイトを読んだことはありますか。
個人的に読むことはありませんが、ニュース関係のスタッフから転送されてきたものには目を通します。
--そうしたコミュニティで、RIAAや全米映画協会(MPAA)に対する反感の声が大きくなっていると思いますか。
草の根の技術コミュニティに属する特定の人たちは、インターネットを、従来から存在していた旧体制の組織を完全に覆すような革命的な道具であるととらえています。インターネットのもたらす理想郷に及ばないものはすべて失敗者であるとみなすわけです。音楽業界は、楽曲ファイルのサイズが比較的小さいものだから、こうした人たちによってたまたま最初のターゲットにされただけです。そして、われわれの活動が反インターネット的なものとして最初にやり玉にあげられるようになってしまいました。映画はダウンロードに時間がかかるので、映画よりも音楽が選択されたわけです。
--個人的に攻撃されていると感じたことはありますか。
いいえ。ただ、地方の大学のキャンパスや特定の聴衆の前でしゃべるときにはそう感じることもあります。しかし、そうした攻撃を個人的なものとしてとらえることはありません。どんな仕事をしていても攻撃されることはあるわけですから。私は今、RIAAの代弁者の立場にいるわけです。ですから、当然、何らかの攻撃を受けることになります。
--あなたは、ファイル交換ネットワーク、および著作権侵害行為を誘発するすべての製品を非合法化する法案、Induce Act(誘発法)を強く支持しています。Induce Actの代替案として(IT業界側から)提出された、より限定的な法案についてはどう思いますか。
草案を読んだかぎりでは、当初の目的を達成しているとは思いません。PtoPを利用して大量の著作権侵害を促すことで利益を上げる会社が違法であるかどうかは分かりません。しかし、Consumer Electronics Association(CEA)は、合法的なメーカーと違法な著作権侵害行為を区別することを目的とする、非常に面白い考えを含む重要な法案を提出したという点で賞賛されるべきだと思います。
--年内に、何らかの形でInduce Actが立法化される可能性はどの程度ありますか。
可能性はかなりあると思います。関係者と話しただけでははっきりしませんが、どうも全体の方向として、不正コピー防止技術を利用せずに不正を防ぐ方法を検討しているようです。合法的な企業が違法のそしりを受けるようなことがないようにすることも検討されています。
--あなたは、Induce Actの原案のほうを推していたわけですが、その考えをどこまで貫くつもりですか。
本当の違法行為を対象とし、合法的な行為を対象としない代替案であればいくらでも受け入れる用意があります。Induce Actの原案をわれわれが支持するのは、意図的な行為かどうかという点が考慮されているからです。これにより、合法的な行為と悪質な行為の線引きがなされます。Induce Actの元の案に敏感に反応したのはIT企業の方であって、われわれではありません。IT企業が懸念を抱いたのも無理はありませんが。
--Induce Actの原案では、iPodのような製品を販売しているという理由でAppleの行為も違法と判断される可能性があるという憶測がありますが、実際にその可能性はあるのでしょうか。
いいえ。
--なぜですか。
Induce Actの原案は、状況全体を見て判断することに的を絞っています。製品ライセンスのために優れたデジタル著作権管理の仕組みを開発する会社が違法コピーで収益をあげようとしているだなんて証明のしようがありません。
--電子フロンティア財団(EFF)は、iPodが違法になる可能性があることを示す架空の訴状をホームページで公開していますが。
彼らは「意図的」という言葉を見落としています。この言葉が鍵です。Induce Actでは、「心理状態」が重要な要素になります。意図的な行為であることを示す明白な行為があったかどうかが重要なのです。しかし、こうした状況では、IT企業が、自分たちがビジネスとして行っている合法的な行為を安心して継続できるようにしたいと思う気持ちも分かります。
--RIAAはPirate Actも支持していますね。Pirate Actでは、司法省がPtoPソフトウェアの利用者を提訴することを認めています。上院では可決されましたが、下院ではどうなっているのでしょうか。
上院と下院の議員たちは共同作業を進めています。彼らは、知的財産を保護するための一括法案について年内に勧告を出すために協議するはずですが、その際にPirate Actにも目を通すことになるでしょう。
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