松下電器産業は10月1日、非接触ICカードの機能を備えたSDカード「smartSD」を開発したと発表した。SDメモリカード型とminiSDカード型の2種類があり、携帯電話に差し込んで乗車券や入退室用の鍵などとして利用できる。12月にサンプル出荷を開始し、2005年秋の商用化を目指す。
非接触IC機能搭載のSDカード「smartSD」。SDメモリカード型(左)とminiSDカード型の2つがある |
smartSDは非接触通信を行うICカード部分と、大容量のデータを保存するフラッシュメモリ部分からなる。ICカード部分は複数のアプリケーションに対応するため、1枚のカードで電子決済や乗車券、会員証など複数のサービスを利用することが可能だ。NTTドコモなどが採用するFeliCaも、アプリケーションの1つとして搭載することで対応が可能という。
フラッシュメモリ部分はICカード機能を利用してメモリの一部の領域を暗号化できるため、機密データや映像データなどのコンテンツを安全に保存することができる。ICカード部分の個人認証機能を利用すれば、SDカード内のコンテンツの課金決済や再生回数コントロールが可能になるという。
SDカードは2003年のメモリカード市場でシェア30%と最も利用されているといい、2004年はシェア36%になると予測されている。smartSDはMOPASSカード仕様に準拠し、現行のSDカードとの上位互換性を持つ。松下電器はsmartSDをSDカードの上位機種と位置づけてさらなる市場拡大を狙う考えだ。
携帯電話にsmartSDを差し込み、認証を行うことができる |
ICカード部分の不揮発性メモリにはFeRAMを採用した。これにより、従来のEEPROMに比べて5分の1の時間で書き込みが可能になる。書き込み電圧は3分の1以下、書き換え回数は1000倍になるという。非接触通信インタフェースにはISO/IEC14443 TypeBとJICSAP2.0をサポートしている。
smartSDの販売はサービス提供事業者が担当する予定といい、JR東日本のSuiCaのような販売形態になると見られる。量販店などでは販売されない見込みだ。価格については明らかにされなかったが、「通常のSDカードの1.2倍程度に抑えたい」(担当者)としている。
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