NTTドコモは6月16日、携帯電話機にソニーの非接触ICカード技術「FeliCa」を搭載させた新しいサービス「iモードFeliCa」を発表した。7月上旬よりサービスを開始する。
iモードFeliCaはNTTドコモが新たな目玉機能として開発してきたサービスだ。2003年12月からiモードFeliCaのフィールド実験を行い、実用化に向けた検証を続けてきた。また、今年1月にはソニーと共同でフェリカネットワークスを設立し、サービスプラットフォームの構築を進めてきた。
NTTドコモiモード企画部長の夏野剛氏 |
説明に立ったNTTドコモiモード企画部長の夏野剛氏は、iモードFeliCaを「iモード登場以来の大きな進化」と話す。「iモードの登場によって、携帯電話は通信インフラからITインフラに進化した。iモードFeliCaの登場で、携帯は生活インフラになる」(夏野氏)
iモードFeliCaの基本的な機能は、現在EdyやSuicaなどで採用されているカード型FeliCaと変わらない。携帯電話をかざすだけで会員証として利用したり、電子マネーで買い物をしたりすることができる。ただし携帯電話の通信機能が利用できるため、iモードを通じて電子マネーやチケットの購入ができ、ディスプレイで利用状況が確認できるといった点で利便性が高まるという。
FeliCaチップへのデータ書き込みや読み出しはiアプリを通じて行う。そのため、サービス提供企業はFeliCa対応のiアプリを制作し、iモードを通じて利用者に配布する必要がある。ただし、端末を機器にかざすと自動的に対応するiアプリが立ち上がるため、利用時が端末を操作する必要はない。端末の電源が切れた場合でも、FeliCaを利用できるだけの電力は残すような設定になっているという。
7月上旬に発売される4機種には、いずれも電子マネー「Edy」のiアプリが内蔵され、100円がチャージされている。このため、簡単な会員登録だけでエーエム・ピーエム等の店舗で買い物ができるという。また、サービス提供企業によってはネットショッピングの決済に利用することも可能だ。「イーコマースとリアルコマースの両方に対応する」と夏野氏は話す。
収益源はインフラ、その先には金融ビジネスも
FeliCaが利用できる場所や端末で表示される「FeliCaプラットフォーム」のロゴ |
非接触ICを利用する場合、iアプリのダウンロードなどでしか通信を行う必要がない。NTTドコモが収益源として期待するのが、FeliCa ICチップのライセンス業務を行うフェリカネットワークスだ。「定額制の導入以来、NTTドコモでは通信以外からどうやって収益をあげていくかが大きな課題となっている。フェリカネットワークスにはNTTドコモが38%出資しており、FeliCa ICチップが各企業や他社の携帯電話に採用されれば、その一部はドコモに還元される」(夏野氏)。さらに「長期的には金融事業もイメージしている」という。
ただし短期的には、利用者の解約率を引き下げる狙いがあるとも話す。「解約率で見れば、ドコモは他社に比べて最も低い。しかし母数が多いため、年間約500万人が解約している。この人数を減らしたい。おサイフケータイを他社に先駆けて提供することが、解約率低下に貢献するのではないか」(夏野氏)
対応端末を提供するのはシャープ、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ、富士通、パナソニック モバイルコミュニケーションズの4社。富士通はFOMAのF900iCを提供し、ほか3社はムーバの506iCシリーズとなる。端末の価格については、「今までとあまり変わらない。何千円も高くなるようなことはない」と夏野氏は話した。
FeliCa採用のきっかけはJR東日本だった
サービス提供企業は38社。ただしiモードFeliCa開始時に合わせてサービスを開始するのは全日本空輸(ANA)、エーエム・ピーエム・ジャパン、ビックカメラなど11社のみとなる。
「ドコモでFeliCaを採用するきっかけとなった」と夏野氏が話すJR東日本は2005年後半にサービスを開始する予定。夏野氏によると、「(SuicaでFeliCaを採用した)JR東日本に口説かれてFeliCaの採用を決めた」という。JR東日本では定期券とイオカードの機能が利用できる「モバイルSuica」を提供する予定だ。
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