家庭のデジタル化時代が本格化しつつある。そして、この恩恵を最初に受けるのは、フラッシュメモリカードメーカーだ。
SanDiskやLexar Mediaといった携帯型記憶用メディアを提供する企業では、昨年の第2四半期以来、売上が大幅な伸びを示している。コンシューマーがデジタルカメラから携帯電話まで、各種のデジタル機器を次々と購入しているからだ。
フラッシュメモリと競合するのは、日立やCorniceなどの各社が販売する超小型ハードディスクで、SamsungやApple Computerなどの大手はすでに、こうしたハードディスクを搭載した音楽プレイヤーを発売している。特にSamsungでは、ハードディスク付きの携帯型ビデオプレイヤーも投入済みだ。
だが、フラッシュ市場ははるかに規模が大きく、売上も1年に数十億ドル程度まで成長しており、しかも衰えの兆候は見られない。アナリストらによると、これまでより高画質の画像やストリーミング動画が登場しつつあり、フラッシュメモリカード市場は今後も引き続き成長すると見られているという。
「2007年まで見通しは有望だ」というのは、米Gartnerのアナリスト、Joseph Unsworth。「デジタルビデオカメラや携帯電話などの用途が、フラッシュメモリの需要をてこ入れし、業界に長期的な成長の機会を提供するだろう」(Unsworth)
フラッシュメモリカード市場で首位を争うSanDiskとLexarは、今月中に今年度第4四半期と通期のの決算報告を行うことになっている。両社とも、この一年で株価は3倍に上昇した。Lexerの場合、2002年の最終取引株価は6.27ドルだったが、先週15日には17.08ドルの値を付けている。一方SanDiskで、2002年の最終取引株価は20.30ドルだったが、2003年に急上昇し、先週15日の終値は67.81ドルだった。
そして、フラッシュメモリの供給増加やそれが価格に与える影響への懸念から、最近では活況を呈するメーカー各社の株価上昇も一段落しているものの、アナリストらはまだまだ成長の余地が残されていると考えている。
IDCによる推定では、世界全体のフラッシュメモリ市場の売上は、2002年には17億ドルだったものが、2003年には倍以上増加したという。
「アジアの携帯キャリア各社はすでに、携帯電話とフラッシュメモリカードをバンドルして提供し始めている。これは、フラッシュカードにとって、巨大なチャンスだ」と、IDCのアナリスト、Mario Moralesは述べている。
取り外し可能なフラッシュメモリカードの成長を支えてきたのは、デジタルカメラだ。コンシューマーは、少なくとも1つはカードを持っていなければならないからだ。一般的に、彼らは画像をPCにダウンロードしたり、新しいカードに交換するまでに、少しでも多くの写真を撮影できるよう容量の大きなカードを選ぶ。デジタルカメラは2003年、世界のフラッシュメモリカードの需要の約6割を占めた。
IDCによると、2004年のデジタルカメラの出荷台数は、前年の4300万台から27%伸びて5500万台となり、さらに2007年には8100万台に達する見込みだという。
実際、デジタルカメラの人気が非常に高くなっているため、Eastman Kodakは先週初め、米国、カナダ、西欧市場において、通常のフィルムを利用するカメラの販売を停止すると発表した。
他のカメラメーカーも同様に戦術を変更しており、低容量の8MBカードを徐々に廃止し、カメラに付属して出荷するフラッシュメモリカードを16MBのカードに置き換えている。またコンシューマーは一般に、最新の大容量カードを購入するが、フラッシュメモリカードのバンドルをやめることはカメラのコストの削減につながる。
IDCのアナリスト、Chris Chuteは、「デジタルカメラにメモリカードをバンドルしないメーカーが増えてきている。この傾向は、市場での競争が激しくなると、もっと顕著になるだろう」と述べている。
同時に、カードメーカー各社は、フォーマットの違いを問わず、フラッシュメモリカードの容量を増やしつつある。標準が大好きなハイテク業界にあって、携帯型フラッシュカードのフォーマットはいまのところ、この動きに抵抗しているようだ。現在提供されているカードには、メモリースティック、SDカード、コンパクトフラッシュ、マルチメディアカード、xDピクチャーカード、スマートメディアなど、さまざまな種類がある。
SanDiskは、ラスベガスで開催された今年のConsumer Electronics Show(CES)で、来月にも2GBのMemory Stick Proを販売開始すると発表した。同社はまた、第1四半期中にMemory Stick Proの約半分のサイズのMemory Stick Pro Duoもラインナップに加える予定だ。同社によると、この256MBのカードの価格は約105ドルで、512MBのものは約225ドルとなるという。
携帯性のある記録用メディアを利用し、フラッシュメモリカード市場の成長に貢献しているその他の製品としては、携帯電話が挙げられるが、特にデジタルカメラを搭載したものが好例だ。IDCによると、世界のメモリカード需要のうちの24%が携帯電話によるものだという。
さらに、小型デジタルビデオカメラやUSBメモリも、フラッシュメモリカード市場の売り上げを押し上げている。
今年のCESで松下電器がデモを行っていたような、小型のデジタルビデオカメラは、静止画の代わりに動画を記録するため、通常のデジカメよりも大容量のカードを必要とする。
一方USBメモリの市場は、コンシューマーがフロッピーディスクの代わりとして使い始めているが、やっと成長し始めたところといった状況だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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