英Virgin Group傘下のオンラインサービス部門Virgin Digitalが27日(現地時間)にオンライン音楽サービスを開始する。オフラインの小売音楽販売チェーンでの成功をオンライン上で再現するのがねらいだ。
Virgin Digitalは、同社がゼロから開発したフル機能の音楽ジュークボックスソフトを武器にオンライン音楽サービス市場に参入する。音楽ダウンロードストアやサブスクリプションサービスはMusicNetとの提携の下で提供される。
Apple ComputerがiTunes音楽ストアを開始してから1年半後に市場に参入するVirginは、スタート時点ですでに大手ライバル企業から大きく差をつけられている。しかし同社は、強力なVirgin Megastoreブランドを利用できる強みがあることに加え、店舗で買い物をする年間何百万人もの顧客に対して売り込みをかけられることから、競合他社よりも効率的に消費者にアプローチできると述べる。
Virgin DigitalのプレジデントZack Zalonは、「Virginの店内を歩き回っているときに目に飛び込んでくる様々な特徴に注目したいと、われわれは考えた」と述べ、さらに「ライバルが音楽サービスを開発しているIT企業であるのに対し、われわれは技術を開発している音楽企業である。われわれは他社とは異なる視点を持っている」と語った。
Virginは、ソフト/ハードウェア企業や家電メーカーが圧倒的シェアを占めているオンライン音楽サービス市場に参入する初の大手音楽販売業者だ。同社は、従来のオフライン音楽販売と新しいオンライン音楽販売との両立が可能か否かをみる試金石となる。
これまで大手の音楽販売業者は、不安にかられながらオンライン音楽市場の発展を見守ってきた。当初は、Napsterをはじめとするファイル交換サービスの流行を自分たちのCD販売事業を脅かす存在と見ていたが、2001年にはさらに別の脅威が出現した。各レコード会社が独自にデジタル音楽配信サービスを立ち上げたのだ。
大手の音楽販売業者各社は2003年にデジタル音楽に関して協力し合うための業界団体を設立し、共同でEcho Networksという名のベンチャー企業を支援した。各社がEcho Networksを利用して独自運営のオンラインベンチャーを強化するのが狙いだった。しかし今年はじめに、Echoよりも低価格なサービスがあることが判明し、同プロジェクトは空中分解した。
Zalonによると、Virginは、音楽リスナーらが既存のオンライン音楽製品について気に入っている点と気に入らない点を明らかにするために、数カ月間に渡って顧客を対象とした聞き取り調査を非公式に実施し、その結果をサービス開発の参考にしたという。
Zalonによると、聞き取り調査の結果、合法的な音楽サービスを実際に利用している顧客はほとんどいないことが分かったという。なかでも、サービスが複雑だ、あるいは、コンピュータ上でどのように楽曲を探していいか分からない、という不満の声が多かった。Virginが調査結果から導いた結論は、新しいジュークボックスをWindowsのインターフェース仕様や他のサービスに過度に依存することなく、ゼロから開発することだったという。
だが実際には、Virginの音楽プレイヤーや製品は、インターフェースに若干の違いがあるだけで、デジタル音楽に慣れ親しんだ人には馴染みのあるものとなる予定だ。
Virginのオンラインストアでは、著作権で保護されたWindows Mediaフォーマットの高音質な音楽ファイルを有料でダウンロードできる。また「Virgin Music Club」サービスに加入すれば、無制限のストリーミング配信や1台のコンピュータでのみ利用可能な音楽ファイルのダウンロードを行える。料金は月額7ドル99セントで、RealNetworksやNapsterが提供している類似サービスよりも2ドル安い。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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