サンフランシスコ発--Intelは、さまざまなチップを組み合わせて使えば、個々のチップをばらばらに使う場合よりも、大きな価値が生まれると主張しようとしている。
Intelは7日(米国時間)に、さまざまなプレゼンテーションを通して、この考えを主張した。同社社長のPaul Otelliniは、サンフランシスコで開幕した「Intel Developer Forum」の基調講演で、まずワイヤレスノートPC用のチップバンドル「Centrino」の場合のように、複数のチップを一緒に販売することにはメリットがあると語った。
さらに同氏は、こうしたバンドルの次のターゲットとなるのは家庭用PCだとし、PCはこれまでのような生産性向上マシンから、コンテンツ保護などの新機能と処理速度の両方が要求される家庭エンターテインメントセンターへと変化を遂げつつあると述べた。
Intelはまた、自社の将来はデュアルコアチップにあると考えている。デュアルコアチップとは、2つのプロセッサコアを搭載した1つのシリコン片を指す。同社は「2つのほうが1つに勝る」というアプローチを優先し、従来型のPentium 4の高速化計画を放棄した。Intelは2006年までに同社製プロセッサの約半数がデュアルコアチップになると見ており、今後開発する製品はすべてマルチコア設計になるという。予想通り、OtelliniはプレゼンテーションのなかでIntelのデュアルコア計画の一部を明らかにした。
これらのさまざまな動きは、Intelがデジタルホーム分野で首位に立つためのもので、また同社がこれまで得意としてきた企業向け市場の基盤を守ることをねらったものでもある。
Intelでは、PC市場の短期的な見通しについてそれほど好調には推移しない可能性があるとの警告を発しているが、今回の長期計画はそうしたなかで発表された。同社は2日に現四半期の売上予測を下方修正したが、金融関係者のなかには背筋の凍る思いをした者もいたようだ。
Otelliniはチップ業界がドットコムバブルの崩壊から回復したと述べ、2004年には通信用チップの売上が過去最高を記録し、またマイクロプロセッサについても同様の可能性があると語った。「バブル後の景気の盛り上がりが見られる」(Otellini)
しかし、課題は山積している。Intelは全体的な取り組みの一環として、単なる高速化から新機能の追加による性能の向上へとチップ開発の重点をシフトさせ、自社のチップ設計者や顧客の考え方を変えることに取り組んでいる。デュアルコアプロセッサやVanderpool技術などはこうした機能追加の例で、Vanderpoolでは1つのPC上で同時に複数のオペレーティングシステム(OS)を稼動できるようになるという。
「このほうがわが社の製品について考えやすい。それに、このほうが製品の販売もやりやすい」とOtelliniは基調講演のなかで語った。
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