Intelは双子(デュアルコア)の誕生を心待ちにしている。
同社は、2つのプロセッサを含むチップ--デュアルプロセッサコアと呼ばれることもある--への早期の移行を進め、2005年中にデスクトップPCやノートPC、サーバ向けの各チップを投入することを計画している。
Intel社長のPaul Otelliniは、来年末までに、Intelが出荷する高性能チップの半数以上がデュアルコアになると語った。つまり、デュアルコアプロセッサはハイエンドからスタートし、まずハイエンドのデスクトップPCに搭載されて市場に出るということだ。Otelliniは米国時間13日に、ニューヨークで開かれた同社の春のアナリスト向けミーティングでこの説明を行った。
Intelでは、デュアルコアを採用するアプローチが、電力消費の問題を回避しつつデスクトップPCやノートPCによりパワフルなチップを提供できる道だと考えている。デュアルコアのプロセッサでは、より多くの並列処理(複数のジョブを同時に実行すること)を行うことにより、シングルコアのチップよりも高い性能を引き出せる。例えば、デュアルコアのプロセッサでは、一方のコアでOSや他のアプリケーションを動かしつつ、もう一方のコアではビデオのレンダリングを行うといったことが可能になると、Otelliniは説明した。
このような機能は、特にデジタル化の進んだ家庭内で有用なものとなるだろう。こうした家庭では、ユーザーがPC上でTV番組の録画を行ったり、各種の家電機器との間でビデオや他のコンテンツを共有するようになると見られている。Otelliniによれば、デュアルコアプロセッサ上の2つのプロセッサコアは、全体の電力消費を抑えるために、同様のパフォーマンスを持つシングルコアのプロセッサよりも低いクロック周波数で動作するという。プロセッサの消費電力は、クロック周波数の上昇にあわせて増加する傾向がある。
Intelでは先週、デスクトップPCおよびサーバ向けとなる、シングルコアの次世代プロセッサ製品の開発を中止すると発表したが、現在はそのエンジニアリングリソースをデュアルコアプロセッサの開発に集中させているとOtelliniは語った。
「簡単にいうと、Intelにおけるチップ設計のパラダイムが移行しており、われわれはすべてのリソースをマルチコア(プロセッサ)の開発に傾けている」と同氏はプレゼンテーションの中で説明した。その後のQ&Aセッションで同氏は、「われわれは、デスクトップPCやノートPC向けに、150Wも電力を消費するチップを出荷するわけにはいかなかった。どう考えても、そんなことはできない」と述べた。ちなみに、現在Intel最速のデスクトップPC向けチップであるPentium 4の3.2GHz版や3.4GHz版では、消費電力は約90〜100Wだ。
この変更により、アプリケーション開発者がさらに多くの計算能力を利用できるようになることから、将来新しいソフトウェアが生まれてくるはずだと、Otelliniは述べた。
Intelはまた、デュアルコアのデスクトップ向けプロセッサで、64ビットへステップアップする可能性もある。チップの64ビット化は、今年夏の後半に登場予定のサーバ向けのXeonプロセッサやItaniumプロセッサで、すでに経験済みだ。ライバルのAdvanced Micro Devices(AMD)もまた、PCやサーバ向けの64bitプロセッサを販売している。
「われわれには、今後Microsoftが64ビット対応のWindows OSを完成・検証し次第、チップの64ビット化を実現する力がある」(Otellini)。だが同氏は、64ビット機能を利用できるソフトウェアよりも、マルチコアチップの力を利用できるソフトウェアのほうが先に登場するとの予想を述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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