HPとAppleの提携は、ほかの面でもHPの戦略上重要な役割を演じている。HPのiPodとDigital Entertainment Center PCからは、AppleのiTunesオンライン音楽販売サービスを利用できるため、オンラインから楽曲を購入/保存したり、それをHPのデバイス間で共有できるようになる。HPはMTVと広告関連で提携するほか、Best Buyなどの小売店には「Immersion Centers」というスペースを設け、全製品が連携する様子を消費者にデモする場として使う。
HPが新製品を開発し、提携を進めているのは、新市場における存在感を高めるのと同時に、印刷のような従来からの牙城を守るためだ、とあるアナリストは語る。
NPD Techworldのアナリスト、Steve Bakerは、「一連の発表を統合されたものとして見れば、家電市場への浸透を狙ったものだと分かる。そして、これは(家電)市場のPCの範囲を超え、もっと幅広い消費者に売り込む機会となりつつある。PC以外でもブランドを確立することはHPにとって戦略的に重要だ」と語った。
HPのテレビシリーズは、42インチのプラズマがEDとHD(高品位テレビ対応)の2モデル、液晶テレビが26インチと30インチの2サイズ用意される。プラズマテレビの価格は、それぞれ2999ドルと4999ドルで、液晶テレビは2499ドルおよび2999ドルになる。だが、プリンターやPCのハードのほうがよく知られているHPから、テレビを買おうとする人間などいるのだろうか。
「まさしく、それが問題だ」とBaker。「すべての鍵はコンバージェンスだ。テレビは電子機器のひとつとなった。HPにとってこの分野へ参入するのは自然なことだ。しかし本当の問題は、同市場へ参入するべきかどうか、あるいは誰が買うかといった事柄ではない。むしろどういう売れ方をするかが肝心だ」
実際に、これらのあらゆる製品が具体的にどう連携するかを正確に示すのは、それが小売店でバラバラに買われているかぎりは難しいかもしれない。そのため、HPはImmersion Centers を利用して、各製品が連携するところを示すことになる。同社はまた、自社のHPShopping サイトで製品を販売するほか、MTVのようなチャネルで広告を打ち、製品のプロモーションを行いながら、製品の連携する様子を見せていく。
しかし、同社はまた一部の製品については自然に売れていくとも期待している。たとえば、HPのプリンタとApple iPod by HP を一緒に買ったユーザーは、HP Printable Tatoosを使うことで、特別なスキンをプリンタで印刷し、iPodにそれを張って自分の好みにカスタマイズできる。
これらのiPod用スキンを使えば、自分の写真やオンラインからダウンロードしたアートワークを本体の全面に付加することが可能だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス