企業での導入が進むLinuxだが、今週サンフランシスコで開かれるLinuxWorld Conference and Expoでは、この流れが鮮明に示されることだろう。
Linuxは、Linus Torbaldsが13年近く前に研究プロジェクトとして立ち上げたものだが、1990年代後半にはコンピュータ業界の支持を集めるまでになっていた。そして現在Linuxは、ITシステム構築時の重要な選択肢の1つであり、競合他社より優位に立とうとするIT業界各社の戦略のなかで重要なコンポーネントとなっている。
今回のLinuxWorldでは、こうした各社の戦略の一部が披露されることになる。サーバベンダ各社のなかでは、IBMが自社のPowerプロセッサを中心に据えたプログラマとソフトウェアパッケージの新たな生態系を構築する取り組みを売り込む予定だ。一方Hewlett-Packard(HP)はLinuxを利用してライバルのSun Microsystemsから顧客を引き抜く取り組みをアピールする。さらにSunでも、Linuxを使って自社の新たなソフトウェアやストレージ戦略の方向性を指し示そうとしている。
ソフトウェアベンダでは、Linux販売第2位のNovellが同社のフラッグシップ製品のバージョン9を発表する。一方、最大手のRed Hatでは、Javaサーバソフト分野への進出を大きく打ち出す。また、Veritasは同社のLinuxストレージソフトをUnix向けの製品と同じレベルに引き上げたアップグレード版を披露する。
主流となったLinux
SCO GroupやMicrosoftのようなライバル各社がLinuxに対する攻撃を仕掛けているにも関わらず、Linuxは広く利用されるようになっている。市場調査会社のForrester Researchは今年6月、年間売上が5億ドルを超える企業129社を対象に調査を行ったが、その調査結果によると、IntelベースでLinux OSが稼働するサーバが社内に10台以上あると答えた企業が24%に上り、3年後にはこの割合が44%になると見られているという。88%の企業が利用するWindowsと比べると、この数字はまだ小さなものだが、LinuxはUnixのなかで最も普及率の高いSunのSolaris(43%)からシェアを奪っている。
市場調査会社IDCが発表した2003年の全世界における市場シェア調査結果によると、サーバ用OS分野でWindowsの市場シェアがLinuxを大きく上回ったという。Windowsが560万コピーを販売して15%を占めたのに対して、Linuxは6.8%、そしてUnixは5%だった。
しかしデスクトップ分野ではLinuxのシェアが上昇し、Mac OSを追い抜いたと、IDCのリサーチャーDan Kusnetzkyは述べている。ただし同氏は、Linuxはまだデスクトップ機向けでは主流の製品にはなっていないと語った。
Linuxに対する需要は強い。Diceというオンラインの求人紹介サイトに掲示されている約4万9000件の求人募集のうち、およそ2200のポストではLinuxのスキルが必須か、あれば好ましいとされていると、同社最高経営責任者(CEO)のScot Mellandはいう。12カ月前にくらべて、この数字はほぼ3倍になっていると同氏は語り、「Linuxのスキルは最も成長の伸びが著しいスキルセットだ」と付け加えた。
Linux陣営の各社は、こうした数字が今後もさらに伸びてくれることを願っているに違いないだろう。
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