エンタープライズソフトウェアメーカーのSAPが米国時間22日、第2四半期決算を発表。米国での売上を伸ばすとともに、中小企業からの契約獲得に奔走した結果、利益が先の予測に達したことを明らかにした。
ERP(基幹業務システム)やCRM(顧客リレーション管理)といった業務支援ソフトを専門とするSAPは、6月30日締めの同四半期に、3億500万ドル(1株あたり約98セント)の純利益を上げたことを明らかにした。この数字は、前年同期の2億6900万ドル(1株あたり87セント)から14%増となる。
また、同四半期の売上高は前年同期比9%増の22億ドルとなった。なお、First Callの集計したアナリストの売上予想平均値は21億6000万ドルだった。
同四半期におけるソフトウェアライセンスの売上高は、6億900万ドルと前年同期比で約15%増加し、先に公表されていた予想を達成した。
同社はまた、今回初めて中小企業(SMB)市場での結果も発表した。それによると、この市場で獲得した契約は、売上高全体の28%を占めるという。ちなみに、同社の定義では売上高10億ドル以下もしくは従業員数2500人以下の企業がこのカテゴリに分類されている。
この数字は、法人市場の成長が鈍化するなかで、同社が中小規模の顧客獲得に関心を向けつつあるとする、多くの業界専門家の考えを裏付けるものといえよう。
SAPが、これまで明らかにしていなかった大企業以外への売上高を公表することにした理由を尋ねられると、SAP AmericaのSMB担当シニアバイスプレジデントのGary Fromerは、同社がこの市場に弱いとの印象を払拭したかっただけだと語った。
全体的に見て、同社の好決算はさほど意外な結果ではない。SAPは、競合するSiebel SystemsとPeopleSoftが同時期に期待はずれの決算を公表した後、収益予想を再確認し、第2四半期の仮決算も2週間前に詳細を明らかにしていた。
同社CEO(最高経営責任者)のHenning Kagermannは、アナリストや報道陣との電話会議の中で、米国での契約増加が同四半期の好調な業績を支えた主な要因であると指摘し、米国市場ではライセンスの売上高が約1億7100万ドルに増加したと語った。同四半期にSAPが新たに獲得した顧客には、ライバルのOracleの顧客だった飲料メーカー大手のPepsiCoも含まれている。対照的に、ヨーロッパ、中東、アフリカ市場では契約数が前年同期から減少したことも明らかにされた。
Kagermannはまた、OracleとPeopleSoftが敵対的買収を巡って裁判に巻き込まれたままである状況などを指摘し、同社がライバル各社と比べて比較的安定していることにも言及した。
「われわれは、この市場がどういうものかをよく知っている。このビジネスは、口コミの信頼が基本だ。競合他社の一部には世界的に業績が芳しくないところもあるので、今回発表した結果は、市場の状況というよりも、むしろSAPの強力さを示すものといっていいと思う」(Kagermann)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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