ニューオーリンズ発--米国時間12日、SAPが主催する年次ユーザーカンファレンスが開幕したが、このステージに立った同社の幹部らは、製品の使い勝手を向上させ、また他社の技術と統合しやすくするために、これまで以上に努力していくと語った。
SAPのCEO(最高経営責任者)Henning Kagermannは、同社の「Sapphire」ユーザーカンファレンスで、会場を埋め尽くした顧客を前に基調講演を行い、SAPがアプリケーション製品の簡素化およびNetWeaverミドルウェアを使ったWebサービスの導入促進に取り組んでいる点を強調した。
この取り組みの中心となるのは、前日に発表されたMicrosoftとの提携拡大だが、両社はこの提携を通してNetWeaverとMicrosoftの.Netアーキテクチャの統合強化を進めていくとしている。
「われわれはIT部門のジレンマを解消しなくてはならない。そうしてまた、自分たちが十分な柔軟性を持ち合わせているかを自問する必要がある」とKagermannは述べ、「われわれは昨年、NetWeaverをリリースしてエンタープライズ・ビジネス・サービス・アーキテクチャをつくり出す計画に乗りだしたが、完全な変化を遂げるには時間がかかる」と付け加えた。
Kagermannは「エンタープライズ・ビジネス・サービス・アーキテクチャ」というコンセプトを繰り返し強調したが、同氏はこのコンセプトについて数多くのアプリケーションコンポーネントが連携するものと定義しており、これを利用する顧客は高い柔軟性を得られ、社内データを有効に活用できるようになるという。
SAPが引き続き自社製品をより細かい部品に分解していくと公約した背景には、同社が進めるイメージチェンジに向けたより大きな取り組みがある。同社はこれまで、ビジネス上の問題をできるかぎり多く解決できるよう考えられた製品を開発してきていた。だが、専門家らは同社のアプリケーションを指して一枚岩のように巨大で融通が利かないと評した。そこで同社は、これまでのやりかたと決別し、他社製品と連動する柔軟性の高い製品をつくりたいと考えるようになった。
一方、Microsoftとの提携拡大は、両社の製品を併用する約4万社の顧客の間で高まっている相互運用性を求める声に応えるためのものだ。この基調講演のなかでは、Microsoft会長Bill Gatesのプレゼンテーションを収録したビデオも流されたが、このなかで同氏は新たに導入されたSAP製品の3分の2以上が、Windowsサーバで稼働しているという事実を強調した。この提携を「統合強化へ向けたロードマップ」と位置づけたGatesは、両社の協力関係が深まり、また各々のWebサービスの取り組みでも協力が進むと語った。
SAPの幹部は、エンタープライズソフトウェア市場のローエンドでMicrosoftとの競争が激化している事実をそれほど深刻には捉えてはいないとし、またシステム統合に対する顧客の要求を満たすためには両社の協力が必要だと語った。
SAPの取締役Shai Agassiは、CNET News.comとのインタビューのなかで、両社はお互いをあまりライバル視しておらず、今後も協力し合える分野を探していくと語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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